ルーラ元大統領の大統領選出馬の道が絶たれる

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2018年10月に行われるブラジル大統領選。その最有力候補であるルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ元大統領(以下、「ルーラ」といいます)は、汚職容疑により有罪判決を受けています。彼の大統領選出馬の可否を決めるため、高等選挙裁判所(TSE)で臨時議会が開かれ、11時間もの審議が9月1日の朝2時に終わりました。

審議の結果として、ルーラの大統領選出馬は認められないことになりました。

フィッシャ・リンパ法

ブラジルには、「フィッシャ・リンパ法(Lei da Ficha Limpa)」という法律があります。英語にすると「クリーン・レコード法」で、大統領を罷免された者、または罷免を免れるために辞任した者、または議会の審議により適当ではないと判断された者は、8年間は大統領に立候補できないことを定めたものです。ようするに、クリーンな人しか大統領に立候補できないですよ、という法律ですね。

2010年、ルーラ政権において認可されたものですが、この度、そのルーラ元大統領自身が、この法律に基づき、大統領選への出馬の道を絶たれるという皮肉な結果となりました。

大統領選に出馬できなくなった理由

ルーラ元大統領は汚職に間接的に関与したこと、およびマネー・ロンダリングの罪により、2018年1月に行われた連邦地方裁判(TRF-4)において12年と1ヵ月の禁固刑を受けていました。ペトロブラス社からの賄賂を現物(サンパウロのアパート)により受け取っていたことが、ルーラの罪状です。ルーラは無実を主張していますが、2018年4月7日から収監されています。

しかしながら、収監後も、ルーラの人気は東北伯の低所得者層を中心として衰えることが無く、大統領選の最有力候補と期待されていました。

有罪判決の確定により、ルーラが出馬できる可能性は限りなく低くなっていましたが、今回のTSEの判決でそれが確定しました。

TSEの臨時会議での審議

TSEの臨時会議での採決の結果、6対1でルーラ元大統領の大統領選出馬が認められないという結果になりました。 反対票を投じたのは、エジソン・ファキン議員のみでした。

国連の人権委員会からは「容疑のすべてが結審するまでは、大統領選を戦うことを妨げるべきではない」という意見が出ており、ルーラを擁立する労働党(PT)はこれをルーラ弁護の根拠にしていました。

しかし、TSEの見解によると、TSEは国連の人権委員会の下部組織ではないし、その決定がブラジル司法における判断に影響を及ぼすものではなく、さらに言えば、その人権委員会でも18人中の2人が賛成しているに過ぎないことを理由に、これに従う必要はないとの判決に至りました。

判決を受けて、ルーラは次のようにコメントしています。

「わたしは歴史を描こうとしている。彼ら(TSE)がどのような歴史を描こうとしているのかは分からない。彼らは裁判官として、または死刑執行人として歴史を描こうとしているのか」
“Eu sei como eu vou passar para a história, sabe? Eu não sei como é que eles vão passar. Não sei se eles vão passar para a história como juízes ou como algozes”

今後の見込み

ルーラを擁立する労働党(PT)は、10日以内にルーラの代替候補を選出することができます。ルーラの出馬可能性が絶たれたことにより、副大統領候補で、元サンパウロ市長のフェルナンド・ハダージ(Fernando Haddad)が、大統領候補として出馬することが見込まれています。

ルーラの大統領選出馬の道は絶たれましたが、労働党(PT)は、ルーラを広告塔としてラジオやテレビで使用することができます。

ルーラが出馬しないとなると、大統領選の有力候補は「ブラジルのトランプ」の異名を持つ、ジャイール・ボウソナロということになりますが、いずれにしろ明るい未来はあまり想像できないです。



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