性別適合手術が無料で受けられる国、ブラジル

ブラジル関連

 

ブラジルには、日本における健康保険に類似するシステムとして、「SUS」と呼ばれる統一保健医療システムがあります(SUSは、「o Sistema Único de Saúde」の略称)。「SUS」の適用範囲であれば、患者は無償で治療を受けることができます。

ブラジルでは、2008年から性同一性障害の人々が受ける性別適合手術、カウンセリング、ホルモン治療がSUSの保険適用範囲に含められています。つまり、ブラジルでは公的保険の利用により性別適合手術などが無償で受けることができるのです。

男性の体を持って生まれた女性に関しては、ペニス切除、女性器・乳房の形成、喉仏・声帯の矯正、女性の体を持って生まれた男性については、乳房、子宮、卵巣の切除手術、が受けられます。

ブラジルには、2011年に「LGBTの健康に関する国家方針(Politica Nacional de Saúde Integral LGBT)」が制定されています。

色々と書いてありますが、根幹にある考えは、「LGBTの人々に対する差別・偏見を排除し、SUSによるLGBTの人々の必要性に対応する機会を提供する」というものです。

ご存知の通り、ブラジルは多様性を尊重する国ですので、LGBTに対しても差別・偏見を排除するという目的で、性転換手術が無料で受けられるようにしているのですね。

ついでながら、日本でも性別適合手術が2018年4月から保険適用範囲内になっているのですが、日経新聞の記事によると、適用開始から一年間で4件しか事例が無かったとのこと。事例が少ないのは、制度設計に問題があるようです。

保険適用1年で4件だけ 性別適合手術、学会まとめ
大半の患者は手術前に保険外の自由診療であるホルモン療法を受ける必要があるが、保険診療と自由診療を併用すると混合診療と扱われ保険適用外となり、全額を自己負担しなければならない。同学会はこうした問題が制度が普及しない背景にあるとみて「ホルモン療法にも保険を認め、多くの人が手術を受けられるようにすべきだ」と改善を求めている。

ブラジルの場合は、日本の制度よりも恵まれてはいますが、需要よりも供給が少ないという問題があります。性別適合手術を受けられる病院が少なく、2014年の情報ですが、サンパウロでは20年待ちという状況もあるため、私費で手術を受ける人も多いようです。これは、性別適合手術に限らず、ブラジル医療制度の共通する問題でもあります。

実際、性別適合手術ではどのような手術が行われるのか、ブラジルの「SUPER INTERESSANTE」という雑誌が「イラスト付き」で紹介していましたので、その一部をご紹介します。生々しい文章になるので、苦手な方は読み飛ばしてください。

女性から男性

一般的な方法はメタイド形成術(metoidoplastia)と呼ばれ、手術に要する時間は2~3時間、費用は約4.5万レアル(約120万円)

  1. クリトリスを恥骨から分離するため、周辺の皮膚を切り開く。
  2. 新しいペニスの長さに合わせて、尿道を形成する。
  3. 小陰唇の組織はペニスの形成に利用される。
  4. 大陰唇とシリコーンを利用して、陰嚢を形成する。同時に、子宮を取り除く。

クリトリスとペニスは同じ構造になっているため、術後のペニスは勃起することが可能。形成されたペニスは、小さい(7~8cmほど)。

メタイド形成術の他、ファロ形成術(faloplastia)と呼ばれる方法もあります。こちらは、腕や腿の組織を使ってペニスを形成する方法ですが、メタイド形成術よりも複雑で手術の件数も多くなく、費用も高くなるようです。また、SUSの適用対象範囲外となっています。

男性から女性

所要7時間、費用約3.5万レアル(約90万円)

  1. 精巣と陰茎の大部分を取り除く。
  2. 亀頭はクリトリスの形成に使用する。尿道は保持する。
  3. 膀胱と腸の間に空間を形成し、膣とする。
  4. ペニスの表皮を利用して、ヴァギナを形成する。尿道は短くされ、位置が変更される。


ブラジル余話の更新をメールでお知らせ

メールアドレスをご記入頂ければ、サイトの更新をメールでお知らせいたします。ご登録して頂けると嬉しいです!(登録後の購読の解除も簡単にできます)