カルティエ腕時計「サントス」の誕生秘話

ブラジル歴史

ブラジルにおいて、「音速の貴公子=アイルトン・セナ」、「サッカーの王様=ペレ」に比肩する国民的英雄に、「飛行機の父=アルベルト・サントス・ドゥモン(以下、「サントス・ドゥモン」」がいます。

このサントス・ドゥモンと、フランスの有名な宝石ブランド「カルティエ」の三代目「ルイ・カルティエ」との出会いが、カルティエで最初の腕時計を生むきっかけになったのをご存知でしょうか。

サントス・ドゥモンはフランス人の父とポルトガル人の母の子供としてブラジルで生まれました。18歳の時に父の故郷であるフランスに移住し、1906年には「ヨーロッパで初の動力飛行」に成功しています。彼の公開飛行は「世界初の快挙」と認識され、大々的に報道されました。ちなみに、ライト兄弟が世界最初の動力飛行に成功したのは1903年のことでした。

サントス・ドゥモンは、子供の頃から機械のしくみに強い関心があり、24歳の時に人から借りた気球で初めて空を飛びました。翌年には「ブラジル」という名前の一人乗り気球を自ら製作して空を飛びました。その後、操縦機能を有する「飛行船」を開発し、改良を重ね、年度も飛行実験をして世間の注目を集めました。

サントス・ドゥモンによる相次ぐ成功は富豪ヘンリー・ドゥーチの関心を引き、「飛行船でパルク・ド・サン=クルーからエッフェル塔を30分以内に往復出来た場合には、賞金として10万フランを出す」という提案を受け、サントス・ドゥモンはこの挑戦を引き受けました。

多くの観衆に見守られる中、サントスは、パルク・ド・サン=クルーからエッフェル塔までの往復を見事成し遂げました。問題は制限時間30分以内に往復できたかどうかですが、結果は、当日の夜、パリの有名レストラン「マキシム」で発表されることになりました。

サントス・ドゥモンが、レストランに到着すると、ドゥーチの挑戦に見事成功したことを祝福する拍手喝采で迎えられました。このパーティーの参加者に、サントス・ドゥモンの友人、ルイ・カルティエがいました。

パーティー参加者からの拍手喝采に驚いた様子を見せたサントス・ドゥモンを見た、カルティエはその理由を尋ねました。理由は単純で、サントス・ドゥモンは、レストランに来るまで、制限時間の30分以内にゴールできたかどうか知らなかったからそうです。

この回答に驚いたカルティエは、「挑戦の最中に時間を確認しなかったのか?」と質問しました。これに対しては、「飛行機の操縦中、手を放して懐中時計を見ることができなかったので、制限時間内にゴールにたどり着けたのか確認しようがなかった」といった回答でした。

当時の時計は、懐中時計が一般的で、時間を確認するにはポケットから出して蓋を開ける必要がありました。サントス・ドゥモンの話にインスピレーションを受けたカルティエは、友人の悩みを解決するための時計を開発しようという想いに至りました。

数か月後、カルティエは男性用腕時計のプロトタイプをサントス・ドゥモンにプレゼントしました。カルティエがデザインしたのは、スクエアの文字盤に、革ベルトというシンプルでエレガントな腕時計でした。

ところで、サントス・ドゥモンは、センスの良いファッションでも有名でした。彼は、着用する洋服を自らデザインし、画家アンリ・マティスの妻、アメリエ・マティスが営むアトリエで仕立てを行うような伊達男でした。サントス・ドゥモンの人気に比例して、彼のファッションを真似する人も続出したそうです。

このような背景から、パリ社交界の「ファッション・リーダー」でもあったサントス・ドゥモンが身に着けていた腕時計は、瞬く間に話題になり、カルティエは1911年には「サントス」という名前で一般向けに腕時計を販売しました。

懐中時計が主流だった当時、「サントス」は腕時計の認知度を高めた歴史的なブランドになりました。発売から100年以上経過した現在でも、「サントス」は、カルティエのアイコン的商品として人気をあつめています。

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カルティエが腕時計を贈った2年後の1906年、サントス・ドゥモンが33歳の時に製造した「14号機(改)」は、ヨーロッパで初めての動力飛行機で60メートルもの距離を飛行することに成功しました。

新聞各社は歴史的快挙として競って彼の成功を報道しました。この成功で、サントス・ドゥモンはArchdeacon賞を受賞し、その賞金は彼のサポートチームとパリ市内の貧しい人々に配られたと言います。この「14号機(改)」は、サントス・ドゥモンの金字塔とされています。

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