なぜ、ルーラ人形が「Pixuleco」と呼ばれるのか?

ブラジル名前の由来

ブラジルのニュースを見たことがある方なら、ルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ元大統領(以下、「ルーラ」といいます)が囚人服を着た巨大な人形が登場するシーンを見かけた方もいるのではないでしょうか。

このルーラを模した人形には実は名前があって、その名を「ピシュレコ(Pixuleco)」といいます。

ついでながら、相方として登場するジウマ元大統領の人形の名前は「Dilmentira」です。

こちらは、Dilmaとmentira(ウソ)の合成語だというのは簡単に分かります。この「Pixuleco」には、ルーラの名前が入っていないので、なぜ、こんな名前が付けられたのか、気になって調べてみました。

「pixulé」という単語に由来

ポルトガル語の辞書に、「Pixuleco」という単語は載っていません。このスラングは、作家のジョアン・アントニオが記した『脚の曲がったパウリーニョ』という物語に登場する造語の「pixulé」に由来しているものと考えられています。「pixulé」は「少ないお金」という意味で使用されています。

ポルトガル語では、単語の語尾に「eco」を付けると、その単語を卑しめる意味に代わるそうです。少ないお金を意味する「pixulé」に「eco」を付けた「Pixuleco」というスラングは、意味としては「卑しい少額のお金」ということになりますが、このスラングが使用された背景では決して少額ではないお金が動いていました。

ラバ・ジャット作戦

2014年に始まったブラジル連邦警察による「ラバ・ジャット作戦」では、大物政治家や事業家の汚職が次々と摘発されました。ブラジル国民の関心も非常に高く、2017年9月には映画化されました。

映画『連邦警察-法は全ての者に(POLÍCIA FEDERAL – A LEI É PARA TODOS)』

ペトロブラス汚職事件で、「Pixuleco」という隠語が誕生

このスラングが人口に膾炙したのは、ルーラの所属する労働党(PT)の財務担当であるジョアン・バカリ・ネットによるペトロブラス関連の汚職事件が報道された時からです。報道によると、バカリは、ペトロブラス関連の契約額について、1%の賄賂を収受していたとか。

この賄賂のことを関係者の間で婉曲的に「Pixuleco」と呼んでいたことが報道され、それが国民の怒りとともに瞬く間に人口に膾炙しました。

その結果、「Pixuleco」は政治家の汚職を象徴する単語となり、ラバ・ジャット作戦は別名「ピシュレコ作戦(Operação Pixuleco)」とも呼ばれるようになりました。

ラバ・ジャット作戦を契機として、当時の与党であった労働党(PT)への批判が高まり、労働党に反対する人々は、労働党の首魁であるルーラに似せた風船人形を作り、その人形を「ピシュレコ(Pixuleco)」と命名しました。

「ピシュレコ」人形は、横縞模様の囚人服を着たルーラ人形が、胸に「13-171」という囚人番号のようなものを付けています。

13番は選挙の際に労働党(PT)を示す番号、また、171番はブラジルの罰則規定の条文番号で、「自分自身や他の人の利益ために、違法行為、詐欺行為・手段を用いて、誰かを誤らせることを誘導する罪」を規定した条文です。

「ピシュレコ」の公式サイトでは、ピシュレコTシャツや人形を購入することもできます。Tシャツはちょっと可愛いので、ファッションとして着てみるのも良いかもしれません。ただし、このTシャツを着てノルデステ(東北伯)を歩いた場合、ルーラ支持者からぶん殴られる可能性もあるのでご注意ください。

どこかの誰かのように、ピシュレコを蹴っ飛ばしたりすると、熱狂的なファンから包丁で刺されるかもしれません。



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