ブラジルで最も美しい島は、不毛の楽園?フェルナンドデノローニャ諸島

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ユネスコの世界遺産(自然遺産)にも登録されているブラジルのフェルナンドデノローニャ諸島(arquipélago de Fernando de Noronha)は、Tripadviserの島ベスト・ランキング(Travelers’ Choice Top 10 Islands 2016)に、南米で唯一ランクインした観光名所です。

アメリカ大陸の名前の由来にもなった、イタリア人航海士アメリゴ・ペスプッチによって、1503年に発見され、貴族のフェルナン・デ・ロローニャの所有となったことから、その名前が付けられました。

この島は、流刑地、軍事施設として使用されるという変遷をたどり、美しい自然環境は開発が進められることなく、保存されてきました。80年代以降から観光客が島を訪れるようになり、ブラジルだけではなく、世界中の観光客の注目リゾート地へと変貌を遂げています。

ブラジルが誇る楽園は「不毛なパラダイス」だった

シュバルスベルグ監督によるドキュメント映画『不毛なパラダイス(Ninguém nasce no Paraíso)』は、フェルナンドデノローニャ諸島の社会問題に光を当てています。

あまり知られていないことですが、フェルナンドデノローニャ諸島では過去12年間一度も新生児が誕生していないという深刻な問題がありました。フォーリャ・デ・サンパウロ紙の記事をベースに同島の抱える社会問題をご紹介します。

産婦人科の無い島

2004年、島に唯一あった産婦人科であるサン・ルーカス病院が廃業しています。同島では、年間40件の出産しかなく、この件数では、経営を維持するのが困難であるというのが廃業の理由でした。同島で産科を維持するためには、最低でも月額15万レアル(約4.5百万円)が必要とのこと。

島民からは「出産の権利侵害だ」として不満の声が上がっていましたが、現時点でこの問題は解決していません。

妊婦にとって不便なのは、病院のある州都のレシーフェまで行き、家族と離れて出産をしなければならないという課題でした。妊婦の多くは34週目(8ヵ月半)で出産のために島を出る必要があります。妊婦には経済的・心理的な大きな負担がかかることは想像に難くありません。

医者を島に呼ぶという案もあったのですが、集中治療室が無いということで、何かあった場合のリスクが高いとして実現しなかったそうです。

出産の権利に無頓着な州政府

フェルナンドデノローニャ島を訪れる観光客は、入島税と滞在税を支払う必要があります。2014年、これらの税収は16百万レアルでしたが、この税収から産婦人科の維持費を捻出することができないか、との問いにペルナンブーコ州政府は沈黙を保ったままだったようです。

ある女性は、レシーフェに親類がいないため、レシーフェのホテルへの滞在を要請しましたが、フェルナンドデノローニャ島の管理局からは「コスト削減」を理由にその要請を却下されたそうです。

管理局はこの事実を否定していますが、女性が裁判所に訴える意向を示すと、“幾多もの議論の結果”当該女性にホテル泊を認めることになったとのこと。女性は仕事を継続することを断念し、海沿いの露店で働く母親の仕送りにより、産休を乗り切りました。彼女は、母親が居なければ乗り切ることができなかったと語り、州政府の援助が不十分であることを主張しました。

12年ぶりに島で新生児が誕生

そんなフェルナンドデノローニャ諸島ですが、12年ぶりに島で新生児が誕生したというニュースが飛び込んできました。といっても、島に産婦人科が復活したわけではなく、妊婦が自宅で出産しただけのようですが…。



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