ブラジルの窓辺を飾る女性人形「ナモラデイラ」

ブラジルの芸術

写真:wikipedia

ブラジルを旅行すると、しばしば窓辺に頬杖をついた女性の人形を見かけることがあります。

筆者は、本物の女性がこちらを見つめているように錯覚し、ドキッとした経験が何度かあります。

この人形は「ナモラデイラ(Namoradeira)」と呼ばれています。

ポルトガル語で、ナモラーダ(Namorada)が「(女性の)恋人」という意味なので、末尾に-eiraをつけた「ナモラデイラ」の意味は、「恋人の人形」といったところでしょうか。

「ナモラデイラ」は、ミナスジェライス州で誕生した人形の民芸品で、セラミック、木、石膏など様々な素材で作られます。

窓枠の上に置くもので、外から見ると女性が窓の外を見つめているように見えます。

その誕生についてはハッキリとした記録は残っていませんが、古き良きミナスジェライス州の様子を表現したことがナモラデイラの由来ではないかと考えられています。

かつてスマホもパソコンもない時代、女性たちは自宅の窓から顔を出して、近所の人とのおしゃべりを楽しんだり、息子が通りで遊ぶのを見たり、若い男女が寄り添って歩くのを眺めたりしました。

娯楽の少なかった時代、道行く人々を眺めたり、会話を聴いたりすることが、ちょっとした女性の楽しみだったのです。

窓辺の女性に気が付いた男性が笑顔を見せることがきっかけで、恋愛が始まるといったこともあったそうです。これが、「ナモラデイラ」という名前の由来と考えられています。

その後、「ナモラデイラ」はミナスジェライス州に留まらずブラジル全土に普及するようになりました。

ノルデスチの田舎などでは、現代でも家の前の椅子に座って、近所の人との会話を楽しんだり、昼寝したりする光景が珍しくありません。

筆者は以前、窓辺に置いてあるナモラデイラを発見し「風情があるな~」と眺めていたら、突然ナモラデイラが「動いた」ので驚いた経験があります。

ナモラデイラかと思った物体は実は本物の女性だったのです。
ブラジルには今も変わらず、「窓から外を眺める女性」がいることを知ってうれしくなりました。

ちなみに、ナモラデイラに似たその女性(おばちゃん)と目があったのですが、残念ながら(?)恋愛には発展しませんでした。



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