かつてポルトガルは500年弱に渡ってイスラムの支配下にありました。8世紀に北アフリカからイスラム教徒のムーア人(ベルベル人)がジブラルタル海峡を渡り、ポルトガルを含めたイベリア半島を支配下に置きました。イスラムの支配は、1139年に起こったオーリケの戦いで、アフォンソ・エンリケスがイスラム勢力を倒すまで500年弱に及びました。265年間続いた日本の江戸時代の約2倍近い期間、後にポルトガルになる地域はアラビア語を話す人々に支配されていたのです。
この影響により、ポルトガル語の語彙にはアラビア語に影響を受けた言葉が数多くあります。読者が何気なく使っているポルトガル語も、もとはアラビア語だったものかもしれません。
Olá=神

ポルトガル語学習者が先ず覚えるであろう単語である、オラ(Olá)は英語のハロー(Hello)に相当する単語ですが、これはアラビア語で「神」を意味する「wa Allah」から来ています。さらに、サッカー観戦が好きな人なら一度は口にしたことがあるであろうオレ(Olé)も同じ語源です。「オーレーオレオレオレー」というのは「かーみー、神神かみー」と叫んでいることになります。
ブラジル最大の観光名所もアラビア語由来?
ブラジルに観光で来た人なら一度は必ず訪れるであろう、リオの有名な観光地ポン・デ・アスーカルは、日本語に訳すと「砂糖パン」という意味があります。ブラジルの砂糖産業の最盛期であった16~17世紀において、精製された砂糖をヨーロッパに輸出する際に、円錐形に整形され、ポン・デ・アスーカルと呼ばれていました。観光地ポン・デ・アスーカルは、この円錐形の固まりに形が似ていたことから、その名前が付いたとする説があります。
↓詳しくはこちらの記事をご参照ください。
前置きが長くなりましたが、ブラジルの発展において重要な役割を果たしたアスーカル(=砂糖)もまたアラビア語に由来する単語の様です。
他にも沢山ある、アラビア語由来の単語
アラビア語由来の単語をいくつか列挙します。
- Açougue (as-suk)
- Açude (as-sudd)
- Açúcar (as-sukar)
- Alface (al-khaç)
- Alfândega (al-funduq)
- Algarve (Al-garb)
- Algema (al-jami’a)
- Algodão (al-kutun)
- Almofada (al-mukhadda de khadd)
- Alvará (al-barã’a)
- Armazém (al-Makhzan)
- Arroz (ar-ruz)
- Azeite (az-zayt)
- Azul (al-lzaward)
- Azulejo (al-zuleij)
- Esmeralda (zumúrrud)
- Fulano (Flan)
- Garrafa (karafâ)
- Laranja (naranj)
- Limão (laimun)
- Magazine (al-gacini)
- Papagaio (babaga)
- Prisão (prasioner)
- perigo (part-nong)
- Safra (safaria, estação da colheita)
- Sofá
- Sorvete
- Salada(salata)
- Tambor (tanbur)
- Tapete
- Xadrez (xaṭranj)
- Xarope (xarab)
アラビア語を話す予定は全くないですが、興味本位でアラビア語の単語帳でも購入して眺めてみようかと思いました。
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