ぼくの地元にある長野県伊那市の直売所、グリーンファームは日本一面白い直売所として、県外だけでなく海外からも視察に来る人がいるほどのパワーを持っています。
グリーンファームの面白さを箇条書きで上げてみます。
・普通の卵の他にダチョウの卵が販売されている。
・蜂の子が生きたまま、巣のまま販売されている。
・筆で書かれたPOPに味があり、かつ、店主のつぶやきが面白い。
・何故か骨とう品が売られている。
・直売所の隣にクマやダチョウがいる無料動物園を併設している。
・ヤギのレンタルがある。
あまりに衝撃を受けたので、レジの近くで販売していた本を衝動買いしてしまいました。
この本はグリーンファームの創業者である小林史麿氏が講演会などで話す内容や直売所経営のノウハウなどを惜しみなく公開した本です。直売所で購入したのですが、小林氏の直筆メッセージが入っていて驚きました。
グリーンファーム成功の秘訣
小林氏は本のなかで、グリーンファームがいつも繁盛する秘訣を10の項目に分けて説明しています。ドンキホーテ創業者の安田隆夫氏が語るドンキホーテ成功の理由と重なる部分があったので、合わせてご紹介します。
生産者が販売価格を決める
通常、直売所では直売所のルールに生産者が従うということが多いようですが、グリーンファームでは、生産者が自分の裁量で決められることが多いです。販売価格、出荷量、出荷時間、出荷品目は生産者が決められるようにしています。こうすることで、生産者が自主性を発揮できるので元気になるんですね。
ドンキホーテの安田氏も、元気な組織を作る秘訣は部下への徹底的な権限移譲だということを何度も強調していたのを思い出しました。社長一人が頑張るのではなくて、参加者全員がやる気を出せる環境が元気のある組織の特徴なんですね。
地域にあるもの全てを商品化する
グリーンファームは、何屋さんという明確な区別ができない業態です。普通の直売所なら野菜を売るだけですが、グリーンファームは木彫りのクマやヒマラヤの岩塩、カブトムシ、生きた蜂の子、骨とう品など売っています。お客さんからすると、「えっこんなものまで売ってるの?」という宝探しのような楽しさを味わえるのです。
ぼくはスーパーに行った時に、用がなくてもまんべんなく陳列棚を眺めて、何か新奇なものがないか見て歩くのが趣味なんですが、グリーンファームはそんなぼくにはうってつけの店でした。
ドンキホーテでは、商品をわざとゴチャゴチャと陳列してお客さんに宝探しの楽しさを味わえるようにしているのですが、これは「圧縮陳列」と呼ばれています。男はいくつになっても、宝探しをしたいものなのです。
広告は出さない
グリーンファームでは、チラシなどで宣伝はしておらず、「口コミ」だけで人気になったそうです。小林氏は、むしろ、チラシを出したら口コミは止まるとも言及しています。人間は自分だけが知っている情報を人に話したくなるという衝動があるからというのが理由です。確かに、面白いことは人に話したくなります。ぼくも、グリーンファームから何かもらっているわけではないのに、せっせとこんな記事を書いています。
まとめ
グリーンファームの何が楽しいかというと、いい意味でカオスなところ、決まりがないことだと思います。そこには、参加者(経営者、生産者、消費者)それぞれが、クリエイティビティを発揮する余地があります。
形が悪かったり、虫に食われた野菜は、普通のスーパーマーケットであれば廃棄せざるを得ないと思いますが、グリーンファームであれば、「虫が食うほどうまいリンゴです。」とか書いて知恵を絞って売ることができます。
ぼくの文章力では、グリーンファームの良さをうまく伝え切れないですので、良かったら一度行ってみて下さい。東京からなら、高速バスで3時間半くらいで行けます。
お越しの際には、ぜひ、伊那谷名物ローメンも食べてみて下さい。隣にある駒ケ根市でウイスキー醸造所見学や、名物ソースかつ丼なども楽しんでいってください。
