南緯8度というと、インドネシアのバリ島とほぼ同じ緯度なんですが、ブラジルのペルナンブーコ州はその南緯8度に位置しています。で、そのペルナンブーコ州の州都レシフェで花を買った時に、ふと素朴な疑問を思いました。年間平均気温が27℃で、30度を超えることも珍しくないレシフェで売られているこのバラは一体どこで育てたのか、ということです。
レシフェ在住のブラジル人に聞いたところ、それはグラバタ(Gravatá)で育てたものだろうということでした。グラバタという町は、ペルナンブーコ州のレシフェから80kmほど西に行った場所にある標高の高い町で、花だけでなくイチゴなども栽培されているとのことでした。
今回、機会があってこのグラバタに二泊三日で行くことができたので、この町の概要をご紹介します。
グラバタ(Gravatá)の概要
↓ホテルから見えたグラバタの北側の景色
グラバタは、レシフェからカルアル(Caruaru)に行く国道(BR-232)を西に80kmほど行った場所にあります。標高は447mで、平均気温は24℃とノルデスチにしては涼しい気候にあります。
人口は8万5千人ほどしかいない町ですが、ノルデスチのお祭りであるサン・ジョアンの時期には50万人もの人が訪れるそうです。
寒い冬のある日本人には理解できないことかもしれないですが、北東部に住むブラジル人はこの避暑地に夏ではなく敢えて冬(6月、7月)に来たがるのです。それは、日常では体験することのできない寒さを楽しむためであり、普段着ることのできない長袖の服を着込んで楽しむためなんだそうです。6月、7月の平均気温はおよそ17度まで下がります。
ウェブで検索したところ、公式観光ガイドには「ペルナンブーコ州のスイス」と銘打ってありました。実際に来てみたところ、スイス風の場所はあるものの、基本的にはちょっと涼しいノルデスチの田舎町という印象でした。
別荘が多く立ち並んでいて、週末だけグラバタに来る人も多いようです。
グラバタの歴史
グラバタの歴史は、1808年に作られた牧場から始まります。当時の主な商業品であった砂糖と牛肉がレシフェで製品化され、ペルナンブーコ州の内陸部に運ばれる際の行商人の宿を牧場主が提供したのです。1822年にカトリック教会が建設され、町が100地区に区画され、人が住むようになりました。
グラバタの町の名前は、インディオの言葉、トゥピ語でパイナップル(caraguatá)の仲間であるKarawatãが多く生えていたことから、グラバタ(Gravatá)という名前がつけられました。現在でも、グラバタ近くの国道沿いではパイナップルを売る商人が屋台を並べているのを見ることができます。
グラバタの主な観光場所
グラバタ滞在中は残念ながら雨が降ったりやんだりという天気だったので、あまり精力的に町を見て回ることはしていませんが、民宿のオーナーに教えてもらったおすすめスポットにはいくつか行って見ました。
なお、町の入口にツーリストインフォメーションがあり、ここで地図などを入手できます。
家具屋通り(Polo Moveleiro)
ツーリストインフォメーションの近くに、家具屋通り(Polo Moveleiro)と言うのがあります。その名の通り、家具を売る店が軒を連ねる通りです。
家具は、ハンドメイドの木製で味があります。田舎の別荘とかに置いたらさぞ良い雰囲気になるだろうと思いましたが、残念ながら田舎に別荘は持っていないので、ここは眺めるだけで何も買いませんでした。
アンティーク車の博物館(Museo de carros antigos)
家具屋通りの交差点を左に曲がった先に、アンティーク車の博物館(Museo de carros antigos)があります。副題は、「こどもの夢(Sonho de Criança)」と銘打ったもので、古いものでは1930年代に製造されたアンティーク車が良い保存状態で展示されています。なお、開館は金曜日~日曜日のみです。入場料は一人10レアル。


十字架の丘(Alto do Cruzeiro)
セントロの奥にある丘の上には、リオ・デ・ジャネイロのコルコバードの丘にも立っているキリスト像(Cristo Redentor)を中学生サイズにしたものが立っています。丘の上からは、グラバタの町を一望できます。雨のため、あまりいい写真が撮れなかったので、キリスト像の写真だけ載せました。レストランも2件ほどあり、地元客でにぎわっていました。
グラバタのホテル
今回は、Booking.comで評価9.5点という恐るべき高得点を得ていた「Casa Schneider」という民宿にお世話になりました。夫婦で泊まったのですが、キングサイズのベッドが有難かったです。オーナーは、レシフェ生まれのドイツ系ブラジル人で、20歳くらいまでドイツに住んで、今はブラジルに戻り、民宿をやっているというクニグンデさんという女性です。本人は、名前にコンプレックスがあるようで、「名前はシンプルなほうがいいわ」と何回かこぼしていました。
Booking.comで高評価を得ているブラジルの民宿に共通する特徴ですが、オーナーがめちゃくちゃ良い人で、話好きな人でした。
町の中心とは反対側にありますが、その分静かで、夜は虫の鳴き声、朝は鳥やヤギの鳴き声くらいしか聞こえません。車があれば、移動の面では特に不便はないです。民宿のすぐ近くに種ヤギを育てている施設があって、オーナーのクニグンデさんは、よくヤギの鳴き真似をして宿泊客を楽しませてくれました。
グラバタ中心部から少し離れた場所にある民宿では、民宿内にミニ動物園がついていたり、乗馬体験、簡単なハイキングができたりするところもあるみたいです。
Hotel Fazenda Céu Aberto
POUSADA ECOLÓGICA SEMPRE VERDE
グラバタのグルメ
グラバタは、ペルナンブーコのスイスと呼ばれるくらいなので、名物料理は「チーズ・フォンドュ」で、多くの店のメニューにおいてあります。初日に行ったレストランは、民宿の近くにあるレストランで、その名も『Taverna Suiça』という名前でした。
こちらは、オススメのスイス風ステーキ
ステーキの上に、チーズ・フォンドュのチーズが乗っていました。うまかったですが、ちょっとチーズがしつこくて気持ちが悪くなりました。
別の日に食した、豚バラのステーキ
アバラ骨をしゃぶりながら食べます。
グラバタにある大概のレストランでフォンドュを出します。あと、隠れた名物料理としては、羊のブッシャーダ(ホルモン料理)があります。街中で何件かブッシャーダを食わせる店を見かけましたし、キリスト像の立つ丘にもブッシャーダ専門店がありました。
ゲテモノ写真館
この先は、虫などが嫌いな人は見ないでください。
宿泊先の庭に居た巨大ヒキガエル。大きさはipad miniくらい。
同じく宿泊先の庭に居た巨大バッタ。大きさはiphone 6sくらい。
グラバタにはまた天気の良い日に行って見たいです。