なぜ、ブラジルのバレンタインデーは6月なのか

ブラジルの行事

バレンタインデーと言えば日本を含めた多くの国では2月14日に祝いますが、ブラジルのバレンタインデーは、なぜか6月12日になっています。正確には、「恋人の日(o Dia dos Namorados)」と呼び、カトリック行事の「聖アントニオの日(6月13日)」の前日に開催されます。

「恋人の日」は、日本のクリスマスに似た雰囲気の日で、恋人たちがプレゼント交換したり、特別なレストランで外食したりします。会社や学校はお休みにはなりません。なぜ、ブラジルでは、他の多くの国と異なる日にバレンタインデー(恋人の日)があるのかご存知でしょうか。

聖バレンタインとはどういう人か

ブラジルの恋人の日の起源を見る前に、いわゆる2月14日の「バレンタインデー」の起源についてご紹介します。

伝説によると、3世紀のローマ皇帝、クラウディウス2世はローマの軍人が戦場に出征する際に、家族を心残りに思わないようにするため、軍人の結婚を禁止したといいます(そんな史実は無いという話もあります)。聖バレンタインは、ローマ皇帝のこの決定の後も、若者の結婚式を挙げる手伝いを続けました。

聖バレンタインの反抗的な行為を知った皇帝は、聖バレンタインを刑務所にぶち込みます。しかし、牢獄に入れられた後も、バレンタインは伝道をやめず、神への信仰を捨てなかったため、これがローマ皇帝の逆鱗に触れ、バレンタインは斬首刑に処されることになりました。

伝説では、聖バレンタインが処刑される前日の2月14日に、彼は看守の盲目の娘に恋をしたといいます。彼女は、バレンタインに日々の食事を提供する役目を負っていました。バレンタインは彼女に最後のラブレターを書いて渡しました。

「バレンタインデー」の起源は、ローマの「ルペルカーリア祭」

ローマのルベルカス神を祀る祭りである「ルペルカーリア祭」という祭りがあります。この祭りは毎年2月15日に開催され、農民たちはその年の豊穣をお祈りしました。

祭りの時、陶器のつぼに地元の娘の名前書かれた紙を入れ、若者がくじを引くという催しがありました。若者が引いた名前の娘は、次の年の祭りの時まで、イベントのある度にその若者と一緒に過ごすことになっていました。当然のごとく、カップルになった男女の中からは、愛し合って結婚に至るケースも珍しくありませんでした。

カトリックにより禁じられた「ルペルカーリア祭」

カトリックの影響力が高まってくると、娘の名前の代わりにカトリックの聖人の名前を利用するようになりました。また、ルベルカス神はキリスト教とは関係のない異教の神でしたので、聖バレンタインの名前が代わりに利用されるようになりました。

その後、若者のキューピッドになった聖バレンタインとルペルカーリア祭の催しが変化して、現在のように恋人の日(バレンタインデー)として定着することになったわけです。

結局、ブラジルのバレンタインデーはなぜ6月なのか

さて、話を戻してブラジルのバレンタインデーの由来についてご説明しましょう。

世界的には、バレンタインデーは2月14日ということになっていますが、ブラジルでは6月12日が「恋人の日」とされています。

ブラジルにおいては、1949年までは「恋人の日」なるものは存在しませんでした(もちろん、バレンタインデーも)。

6月12日というのは、「聖アントニオの日」の前日です。この聖人は、聖バレンタイン同様に「結婚の聖人」と呼ばれ、ブラジルでは縁結びの聖人として重宝されています。

そして、「恋人の日」が誕生した背景には、ロマンスは全く関係なく、商業的な理由がありました。6月というのは、大きなイベントもなく商業的には「最も売上が低迷する月」でした。

そこで、6月の売上を改善するため、広告マンのジョアン・ドリア(元サンパウロ市長で2018年の大統領選に出馬したジョアン・ドリアのお父さん)が、商業キャンペーンとして始めたものが「恋人の日」の起源です。サンパウロ商業協会の支援を受け、6月12日を「サンパウロのバレンタインデー」として定めました。キャンペーンは成功し、売上が予想以上に増加したため、サンパウロのみならずブラジル全土に広まりました。

ところで、ブラジルの「恋人の日」には面白い迷信があります。「日本でもクリスマスまでに恋人をつくるぞ!」と頑張る若者がいますが、ブラジルでは不幸にも「恋人の日」を独りぼっちで過ごすことになった人が、聖アントニオの人形を水で満たしたコップの中に頭から逆さまに入れるという迷信があります。

水の中で苦しむ聖アントニオが、水から出してもらうために急いで恋人を見つけてきてくれるとかくれないとか…。

ブラジル流の婚活では、水責め拷問もアリ!?

2016.06.13


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