先日ブラジル人と飲みに行った時に、メキシコのコロナビールを注文しました。コロナを飲みながら、ある女性が言いました。
「ブラジルのビールにはトウモロコシが混ざっているけど、コロナは大麦100%だから美味しいよね」
後で調べたところ、残念ながら(?)コロナビールもトウモロコシを原材料として使っていました。
ブラジルビールの実態
伝統的なビールは、水、モルト(麦芽)、ホップから製造されます。
しかし、ブラジルの大手ビールメーカー(i.e. Ambev)は、大麦の代わりにトウモロコシを使用してビールを製造しています。サンパウロ大学が行った2008年の調査では、トウモロコシの利用割合は大手ビール製造企業で45%にのぼり、ブラジルの法律が定める上限(50%)に近似していました。
ビール製造企業がトウモロコシを使用しているのは、トウモロコシの方が30%ほど大麦よりも価格が安いからです。その上、そのトウモロコシは遺伝子組み換え(GMO)です。さらに、ビールの原材料名には「トウモロコシ」とは表記されず、「麦芽処理されていない穀物(cereais não maltados)」又は「炭水化物(carboidratos)」といった紛らわしい表記がなされています。ちなみに、日本では、米、コーンなどと表記されています。
麦芽とトウモロコシの違いですが、トウモロコシを利用したビールのほうが軽い飲み口になります。ブラジルでは軽い飲み口のビールが好まれるといいますから、トウモロコシを原料に利用するのはコスト以外にもブラジル人の嗜好と関係があるのかもしれません。
では、ブラジルで流通しているビールブランドは、どの銘柄がトウモロコシを利用しているのでしょうか。
トウモロコシを利用している銘柄
- アンタークチカ
- オリジナル
- ボヘミア
- ブラーマ
- スキン
- スコウ
- バドワイザー
- ステラ・アルトワ
- コロナ
ステラ・アルトワは、ちょっと高級ビールの印象があったのですが、トウモロコシを使っていたんですね…。
追記:今後は表記が変更に
2018年3月26日の新聞記事で、ゴイアス州の連邦裁判所がビール製造会社に対して、「麦芽処理されていない穀物(cereais não maltados)」とか「炭水化物(carboidratos)」といった表記をやめて、原材料名を表記せよとの命令を出していました。今後は、このような紛らわしい表記は無くなっていくことになりそうですね。
大麦100%の銘柄
トウモロコシを利用していない銘柄は次のものがあります。
- ハイネケン
- テレゾポリス
- アイゼンバーン
テレゾポリスは日常的に飲むには高いですが、ハイネケンなら手が届きそうです。

これまで気が付きませんでしたが、ハイネケンの缶には次のような宣伝文句が書かれていました。
PURO MALTE
Acreditamos que pureza é o verdadeiro sinal de qualidade. Por isso, produzimos a Heineken com ingredientes naturais: água, malte, lúpulo e a exclusiva levedura A. Enjoy!ピュアモルト
私たちは純粋さこそが本当の品質の鍵であると信じています。だから、ハイネケンは天然の素材(水、モルト、ホップ、酵母)のみで製造しております。
結論
遺伝子組み換え食品を摂取したからといって、直ちに健康被害があるわけではありませんし、麦芽100%のビールだからといって飲みすぎは健康に良くありません。あまり神経質にならず、どちらもほどほどに飲むのが一番でしょう。
ついでながら、日本で麦芽以外の穀物を利用しているのは「アサヒスーパードライ」、「サッポロ黒ラベル」などが該当するようです。一方で、麦芽100%というと「キリン一番搾り」「モルツ」「エビス」が該当します。