自閉症の娘のため大麻自家栽培が許可される

ニュース

ここ数年で、大麻の使用を合法化する動きが世界で活発になっています。

サンパウロ州カンピーナス市で、自閉症の娘(6歳)のためにCDBオイル(カンナビジオール・オイル)を採取する目的で大麻を自家栽培していた女性アンジェラさん(39歳)に、栽培が許可される判決が出ました。

「CDBオイル」とは(msn記事

寝る前にお茶にたらす、カプセルの形で飲む、電子タバコに入れるなど多くの使い方があり、うつ症状や慢性の痛みが軽くなる、深く眠れると言われています。CBDオイルは大麻草(カンナビス)から抽出されることが多いものの、薬物の「大麻(マリファナ)」のように「ハイになる(気分が高揚する)」作用はありませんし、もちろん「薬物常用者」だけが使うものでもありません。

大麻草には80種以上の活性カンナビノイド化合物が含まれ、それが体内の特別な「受容体」と相互作用して影響を与えます。中でもTHCは、精神に作用する主要なカンナビノイド。脳内のCB1受容体と相互作用して陶酔感や多幸感をもたらします。

でもCBDの場合、同じCB1受容体との相互作用がTHCの100分の1と弱く、たとえこれらの受容体と結合しても、THCのように思考や知覚に作用を及ぼすことはありません。

フォーリャ・デ・サンパウロ紙の記事によると、ブラジル国内では、医療用大麻の栽培が許可されているケースは20件未満であり、その多くは非合法的な栽培であるとのことです。

「多くの親は、申請が却下されることを恐れて、合法的な許可の申請を躊躇します。そのため、隠れて栽培を行う者も多く、法令違反のリスクを抱えて生活しています(障害者の人権保護に詳しい弁護士)」

アンジェラさんは、2018年9月に合法的な栽培の許可を申請していましたが、第一審では却下されてしまいました。CDBオイルの輸入は2016年から許可されているものの、医療用大麻の栽培については、ルールが明確ではありませんでした。

「自家栽培を認めるべきか、それとも、許認可を受けた業者に限定すべきかという点で議論が分かれました。現状、ブラジルで手に入るCDBオイルは輸入品のみですが、為替リスクや、輸入にともなう煩雑な手続きが必要になります。自家栽培であれば、そのような手続きに頭を悩ませることも無く、経済的にも持続可能な手段となります(アンジェラさんの弁護人)」

2016年以降、CDBオイルの輸入許可は累計5,000件で、およそ800名の医者が処方できるような体制となっています。

「数年内には実用的なルールが確立するでしょう。大麻の成分の医療効果は科学的に多くのエビデンスによって担保されています。禁止し続けることは道理にかなっていない」と弁護人は考えています。

「CDBオイルの使用は、自閉症の患者の症状の改善に明確な効果が見られます。社会とのコミュニケーション能力に改善が見られ、睡眠の質が改善し、攻撃的になる傾向が弱まります。また、震え、痙攣といった副作用も見られません(自閉症カウンセラー)」

自閉症については、薬学的な対処法が無い一方で、CDBオイルの使用は明確な改善効果が見られます。

CDBオイルの使用により、会話能力の発達に改善が見られ、社会との協調性も高まるという臨床結果も出ています。

今回、アンジェラさんの申請が許可されたことにより判例ができたため、自閉症の子供を持つ親が大麻を自家栽培制度化に向けた道が開けました。また、許可が出たことにより、周囲から不審な目で見られることも少なくなることが期待されています。

アンジェラさんの場合、輸入CDBオイルの購入コストが年間8万レアル(≒2.4百万円)かかっていたとのこと。自家栽培によるコストは、これに比べると遥かに安く抑えることができるようです。

アンジェラさんの娘は、会話能力及び社交性の発達に問題を抱えていました。自閉症について、独自に調査をしたところ、2016年末にCDBオイルの効能を発見し、自閉症の子供を持つ母親グループの支援を受けて、大麻の自家栽培を始めました。専門家の指導の下、娘の治療にCDBオイルを使用するようになりました。

2017年8月にサンパウロ州に医療用大麻の栽培許可を申請しました。

2018年6月に警察がアンジェラさんの自宅を突然訪問しましたが、冬だったので、自宅には大麻は生えておらず、CDBオイルのみがありました。

アンジェラさんは、製造したCDBオイル、各種書類、医者の診断書、学校での記録、治療前と後に撮影した娘の動画などを資料として提出していました。

ブラジルにおける医療大麻の歴史

以下、ブラジルにおける医療大麻の歴史概略です。

2013年11月
Anny Fischerさんの家族がインターネットでCDBオイルの効果を知り、米国から輸入。

2014年3月
米国からの輸入が税関で止められ、Annyさんの家族が窮状をジャーナリストに訴える。

2014年4月
Annyさんの家族は、サンパウロ大学の医者から診断書を入手し、裁判所に輸入許可を申請。輸入許可が認められ、国家衛生監督庁(ANVISA)は、同様の症状で悩む人からの申請を募集。

2014年10月
サンパウロ医療機構は、同州でのCDBオイルの処方を認可

2014年12月
連邦医療機構は、てんかん患者で他の治療法で効果が無かった子供に限定して、CDBオイルの処方を許可。

2015年1月
国家衛生監督庁(ANVISA)は、CDBオイルの取扱いを禁制品から管理品へと変更。

2015年3月
てんかん患者以外でも、痙攣症を持つ患者に対するCDBオイルの許認可例が増加する。

2015年4月
国家衛生監督庁(ANVISA)は、CDBオイルの輸入手続を簡略化する。

2016年3月
国家衛生監督庁(ANVISA)は、大麻の主な有効成分のひとつであるTHCを使用した医薬品の処方を許可(それまでは処方が禁じられていた)。

2016年12月
医療目的で大麻を自家栽培していた3家族が、ヘイビアス・コーパス(人身保護令)を得る。

2017年1月
THC及びカンナビジオールを使用したMevatylと呼ばれる医薬品が痙攣患者への治療目的で登録される。

また、国家衛生監督庁(ANVISA)は、将来的にブラジルの制度を改正するため、医療目的で大麻栽培を許可する他国の事例の研究をはじめる。



ブラジル余話の更新をメールでお知らせ

メールアドレスをご記入頂ければ、サイトの更新をメールでお知らせいたします。ご登録して頂けると嬉しいです!(登録後の購読の解除も簡単にできます)