ブラジルの「Bumbum」はアフリカ女性に由来?

ブラジル・ポルトガル語豆知識

“ブラジルらしさ”を象徴するキーワードには、「サンバ」「サッカー」「フェイジョアーダ」「カポエイラ」などがありますが、少し低俗な話題としては、ブラジルの「ブンブン(Bumbum)」または「ブンダ(Bunda)」も“ブラジルらしい単語”のひとつのように思います。

ブラジル人と「Bunda」

「Bunda」ないし「Bumbum」というのは「お尻」という意味の単語です。

ブラジル男子はお尻の大きい女性に惹かれ、ブラジル女子は美尻を手に入れるためにジムで涙ぐましいまでの努力を費やします。中には、お尻にシリコーンを注入して手軽に美尻をゲットする女性もいます。

日本の焼き肉で主役を飾るのは、カルビ、ハラミ、タンなどですが、ブラジル人は焼き肉(シュラスコ)でも最も好む部位はピッカーニャ、すなわち「牛のお尻(イチボ)」です。

ブラジルの元宗主国であるポルトガルでも「Bunda」という単語は存在しますが、「traseiro」「cu」の方が一般的に使用されています。

Bundaはアンゴラのキンブンド語に由来

「Bunda」という語彙は、アンゴラで話されているバントゥ語族のキンブンド語(quimbundo)の「Mbunda」から来ています。アンゴラでも同様に「お尻」という意味でこの単語が使用されています。

ポルトガル人がアンゴラ等から連れてきた奴隷は、キンブンド語を話していたため、ポルトガル人は男性奴隷を「キブンド(kibundo)」、女性奴隷を「キブンダ(kibunda)」と呼ぶこともあったようです。現代のブラジル人も日本人に対して「ジャッパ(jappa)」と呼ぶことがありますが、それと同じ感覚なのではないかと思います。

真偽のほどは定かではないですが、奴隷として連れてこられた黒人女性に大きいお尻をしている人が多かったので、それを見て興奮したポルトガル人の男たちが「あのキブンダを見ろ!(Vejam kibunda)」と言ったことから、いつのまにか「ブンダ」がお尻を指す言葉になったという説もあります。

Bundaの由来が「キンブンド語」だという話は、飲み会の席でブラジル人に話したら喜ばれそうです。なぜなら、「Quimbundo」が「Que bunda!(なんて良い尻)」という感嘆表現に聞こえるからです。

ブラジルの公用語は「お尻語」?

Vejaの記事によると、『こち亀』の両津勘吉のような眉毛が特徴的なブラジル作家、モンテイロ・ロバート(Monteiro Lobato, 1882-1948年)は、ブラジル人が話すポルトガル語を「お尻語(língua bunda)」と呼ぶことを好んでいた節があるそうです。


Monteiro Lobato

Bundaという単語は現代においても「価値のない、普通の、品質の低い」といった意味でも使われることがあります。その背景には、ヨーロッパ人によるアフリカ人の差別や、裸に近いアフリカ人の見た目への蔑視が要因としてあるようです。

ロバートが、ブラジル人が話す言葉が“質の劣るポルトガル語”であると揶揄してこのような表現を好んでいたのかもしれません。彼については、差別主義者であるという批判もありますので。

さらに余談ながら、アンゴラとザンビアで現代も話されている「ブンダ語(língua bunda)」という言語があります。これはキンブンド語とは別の言語です。ロバートがブラジル人のポルトガル語を「お尻語」に例えたのか、「ブンダ語」に例えたのか筆者には分かりません。

キンブンド語に由来する言葉

キンブンド語に由来する語彙で、現代のブラジルにおいても使用されているものを最後にご紹介して記事を終わりにしたいと思います。

ポルトガル語 意味
Moleque 少年
Quilombo 集落
caçula 末っ子
candomblé カンドンブレ(宗教)
carimbar 押印
dendê デンデ油
moqueca ムケッカ(料理)
zumbi パルマーレスの英雄ズンビ
samba サンバ
xingar 毒づく
berimbau ビリンバウ(楽器)
ginga ジンガ(カポエイラの基本)
maconha 大麻

他にもポルトガル語には外来語由来の語彙が沢山あります。興味のある方は以下の記事をご覧ください。

ポルトガル語に残る外来語の影響

2018年5月3日


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