ブラジルに来る前は、「タピオカ」と言えば、台湾のミルクティーに入っているもの、という認識だったのですが、ブラジルに来て現地の人が「タピオカ」を日常的に食べているのを見て認識を改めました。調べたところ、タピオカはブラジル原産のサツマイモに似た植物、キャッサバ(ブラジルではマンジョッカ[mandioca]と呼ばれる)に由来していることが分かりました。
日本でも大豆から醤油、味噌、納豆、豆腐等さまざまな加工品を作りますが、ブラジルにおいて同じ役割を担っているのが、このマンジョッカです。マンジョッカは、ポルトガル人がブラジルを「発見」する遥か前から現地のインディオによって食されていました。インディオの言い伝えによると、マニという名前の少女の墓から生えてきた植物なので、マンジョッカと呼ぶという話があります。詳しくは、以前に書いた下記の記事をご覧ください。
タピオカとは何か
タピオカとは、マンジョッカをすり潰して水に浸し、水中に沈殿したデンプン部分のことを言います。タピオカという名前は、インディオの言葉トゥピ語で「tïpï’og」と呼ばれていたことに由来し、「凝固物」という意味があるそうです。
ブラジルでは色々な料理方法がありますが、代表的な料理はその名も「タピオカ(ベイジューとも呼ばれる)」です。これは、熱したフライパンにタピオカの粉を広げて、少し温めるとデンプンがくっ付いてモチモチとしたパンのようになる料理です。ブラジル人は、これに、ハム・チーズ、練乳、そぼろ肉などをトッピングしてオヤツや朝食に食べます。
タピオカミルクティーとは何か
日本では、タピオカミルクティーと呼ばれている、つぶつぶが入った台湾の飲み物は台湾台中市にある「春水堂(チュンスイタン)」が発祥の店だそうです。80年代に、店主が実験的にタピオカを入れたところヒットしたのが始まりでした。
タピオカミルクティーは、台湾では「珍珠奶茶(パール・ミルクティー)」と呼ばれており、「タピオカ」の文字は入っていません。また、英語では「Bubble Tea(バブル・ティー)」とされ、やはり「タピオカ」の文字は入っていません。なぜ、日本人がこれを翻訳するときに「タピオカ」と訳したのか分かりませんが、この翻訳がなかったら、ブラジルのタピオカと台湾のミルクティーはぼくの中で一生繋がることはなかったかもしれません。
台湾「春水堂」はタピオカミルクティー発祥の店!
ブラジルにおけるタピオカミルクティーの認知度は?
ブラジルでは、タピオカミルクティーなる飲み物はほぼ認知されていません。クリチバにあるCaminho do Chá(茶道)という店でタピオカを飲ませるようですが、一般的ではありません。
試しに、同僚のブラジル人に写真を見せてみましたが、検討もつかないようでした。「タピオカミルクティーは知らんけど、これはサグ(sagu)みたいねもんだね。」
サグというのは、サゴヤシ(saguzeiro)と呼ばれるヤシの木から採取したデンプンで、日本では沙穀(サゴ)と呼ばれているそうです。ややこしい話をします。サグは、サゴヤシから採取したデンプンとされていますが、ブラジルで食べられているサグは、サゴヤシ由来ではなく、マンジョッカ由来のデンプンを原料としているようです。
実際にサグを食べたことが無いので分からないですが、タピオカミルクティーについて記事を書いているブラジル人によると、サグでもタピオカミルクティーが作れるそうです。
ブラジルにおいては、サグをワインやブドウジュースに浸してデザートとして食べるみたいですよ。食べたことがある人によると、あまりおいしいものでもない、とのことですが、一度食べてみたいものです…。