渋いよ!ブラジル木版画とコルデル文学の世界

ペルナンブーコ州の民芸品で、外すことができないものの一つに木版画(Xilogravura)があります。Xiloというのは木材を意味し、gravuraには彫刻という意味があります。どんなものかというと、こういう作品です。
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ホテルや土産物屋などでしばしば見かけるのですが、ノルデステ(ブラジル北東部)の風景が素朴に描かれていて味があります。

木版画(Xilogravura)の歴史

版画というのはもともとアジアから伝わったもので、6世紀頃から中国で版画が作られていたと言います。中世のころにはヨーロッパにも伝わり、18世紀になって花開いたと言われています。19世紀には、本の挿絵に使われるようになり、本の製作費削減に貢献しました。

20世紀に入り、印刷技術が発達してくると、次第に重要性が低くなり、版画は実用品から芸術品に姿を変え、現代まで残っています。

ブラジルにおける木版画(Xilogravura)

ブラジルにおいては、ポルトガル人が持ち込んだ版画技術が、主にコルデル文学(Literatura de Cordel)と呼ばれる作品で普及しました。コルデル文学というのは、ノルデステを旅すれば現代でも見かけるブラジルの古い言い伝えを文庫本サイズの薄い冊子にしたものです。カラフルな紙の表紙には、版画の絵が描かれていて、読者の興味を誘います。
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コルデル文学という名前の由来ですが、これは、冊子の販売する店頭で、冊子をひも(corda=コルダ)にぶらさげて販売していたことに由来します。コルデル文学はヨーロッパで成立し、ブラジルの「発見」と一緒にポルトガル人によってブラジルにもたらされました。意外と、その歴史は古いのです。

コルデル文学のテーマは多岐に渡っていて、中でも伝説、歴史、宗教等が多く扱われるテーマです。ブラジル版のネズミ小僧であるランピョン(Lampião)の話や、ヴァルガス大統領(Getúlio Vargas)の自殺などを扱った作品もあります。

ベゼーホス出身の巨匠、J.BorgesとJ.Miguel

我が家にもオリンダなどで購入した版画が何枚か飾ってあります。我が家にある版画には、すべて「J.Miguel(ジョッタ・ミゲル)」という署名が刻まれています。ジョッタ・ミゲルの作品がオリンダに沢山並べられている理由は、彼がオリンダから車で一時間半ほど西に行った場所にあるベゼーホス(Bezerros)出身ということが関係しているのだと思います。
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ベゼーホスの民芸品センターからレシフェ方面に車を走らせていると、「Memorial J.Borges」という見逃せない小さな看板が見えました。J.Borges(ジョッタ・ボルジス)というのは、ジョッタ・ミゲルの父親で、ノルデステだけではなく世界的にも知られた木版画家だということを後になって知りました。ジョッタ・ボルジスは、三回結婚し、十八人の子供がいるというブラジルらしい家族構成の人物でもあります。

「Memorial J.Borges」という場所を探していってみると、古い建物の壁に版画の絵が描かれている小さな建物でした。残念ながら、ぼくが行ったときは閉館しており、中に入ることはできませんでした。
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ペルナンブーコ州に来る機会があれば、この哀愁漂う木版画(Xilogravura)を土産物屋などで物色してみてください。
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