見知らぬ金髪美女にアパートを乗っ取られた話

「明日の朝8時、貴殿のアパートを見たいという方がいますのでお伺いさせて頂きます」

日曜日の夜8時頃、ぼくの住んでいるアパートを仲介してくれた不動産屋のホベルタ(仮名)がこんなSMSをケータイに送ってきました。会社の始業時間は朝7時半なのですが、会社には少し遅れる旨を連絡し、ホベルタにOK!と返信しました。

アパートの見学

アパートを見たいというのは、どうやらぼくの熱烈なファンという訳では無いようです。聞くところによると、オーナーがアパートを売りたがっているらしく、興味のある買い手が見つかったということなのです。

翌日、7時頃からそわそわして待つと、約束の8時になっても見学者は来ませんでした。8時45分まで待ったのですが、誰も来ません。不動産屋のホベルタのケータイに電話してみたのですが、電話に出ません。仕方がないので、不動産屋に直接電話してみたところ、「アパートを観たいと言っていた人がドタキャンをした。何度か電話をしたのだが、音信不通で困っている」と言われました。日本的な常識で言えば、まず時間を割いて待機している住人に、一本電話を入れるのが筋ですが、ホベルタはそこまで気のまわる人ではありませんでした。

しばらくすると、別の買い手が見つかったようで、ホベルタがまた連絡してきました。今回は、事前に念を押しておいたので、ちゃんと時間通りにやってきました。ホベルタは、金髪の若い女性と2人で我が家にやってきました。

ハイヒールを履いた2人の女性を我が家に招き入れ、台所や寝室を見せて回りました。部屋は片づけてありましたが、我が家には貧相な家具しかなかったので、軽蔑の眼差しで見られたかもしれません。「こちらがトイレでございます」などと一通りの施設を案内しました。

結局、その金髪美女は、そのアパートが気に入ったらしく、購入することになりました。その数か月後に、住人であるぼくは、そのアパートを立ち退かざるを得なくなりました。自分が立ち退くきっかけを作るために、知らない人に我が家を案内するというなんとも喜劇的な結末に至ったのです。ブラジルに住んでいると、かような面白い体験ができます。