ブラジル人サッカー選手は、どの国を目指すのか

昨日、「ブラジルサッカー選手の82%が月給3万円以下という事実」という記事を書いたのですが、同じくブラジルサッカー連盟が公表した情報によると、サッカー大国ブラジルでは、海外で活躍するブラジル人選手の数とブラジルで活躍する外国人選手の間に6.6倍もの差があることが分かりました。

サッカー選手輩出国、ブラジル

ブラジルサッカー連盟のレポートによると、2015年はプロ・アマ含めて海外に出たブラジル人選手は1,215名でした。一方で、ブラジルに来た外国人選手は、プロ・アマ含めて653名でした。実数で言えば、2対1の割合ですが、移籍金を支払った選手の数で計算すると、その割合は大分変ります。

移籍金の授受を伴う選手の数は、ブラジル人選手が99名、外国人選手が15名でした。この場合、ブラジル人選手の方が6.6倍多い計算になります。

サッカー選手の移籍によりブラジルが受け取った金額が679百万レアル(約190億円)であったのに対して、ブラジルが支払った金額は114百万レアル(約31億円)でした。つまり、ブラジルは有能な選手を海外に輩出することで、約160億円の利益を得たということが言えます。

海外で活躍するブラジル人選手の数

あるウェブサイトの情報によると、海外で活躍するブラジル人プロ選手の数は2,174名で、111ヵ国で活躍しています。どの国にブラジル人選手が多いのか、見てみましょう。

順位 人数
1位 ポルトガル 412
2位 ドイツ 136
3位 イタリア 127
4位 日本 90
5位 スイス 86
6位 アメリカ 76
7位 スペイン 60
8位 オーストリア 53
9位 マルタ 49
10位 トルコ/中国 46
合計 1,135

一位はダントツのポルトガル。やはり、言葉の壁が無いのが魅力なんでしょうか。4位に日本、9位にマルタがランクインしている理由が気になりますが、最も気になるのは、10位のトルコ/中国です。なぜ、トルコと中国を一括りにしているのか、その意図は分かりませんが、もしかしたら、11か国紹介したかったけど、10か国の方がきりが良いので、フン詰まりを起こしただけかもしれません。

ブラジルの新聞を読んでいると、最近の中国のサッカー業界への関心が気になります。

中国、強力な財政力で世界のサッカー選手を契約

2月11日付のヴァロール誌に興味深い記事が出ていました。中国が欧州のサッカー選手を高額の報酬で中国チームに大量に移籍させている昨今の状況は、今後有能な選手が大量に中国に移籍するという「エクソダス」の序章かもしれない、と英アーセナルのアーセン・ベンゲル監督が警鐘を鳴らしているというのです。

ブラジル人に言わせれば、「中国」は長年の八百長サッカーの習慣で堕落し、代表チームが「屈辱的なほどに弱い(um fracasso humilhante)」国であり、FIFAランキングは、なんとか人口5万人の「フェロー諸島(ノルウェー西海岸とアイスランドの間にある北大西洋の諸島(デンマークの自治領))」の上位にランクしています。

そもそも中国では子供にサッカーをさせる習慣がなく、エリート階層はサッカー観戦よりもゴルフに夢中になっています。中国はこれまでサッカーとはあまり縁が無かったのですが、一人の男が抱いた夢により、このシナリオが大きく修正される可能性があります。

その夢とは、中国共産党トップの習近平総書記が抱いた「中国でワールドカップを開催し優勝する」というものでした。この夢を実現するために、彼は、中国共産党員を中心に、子供にサッカーをさせることを奨励し、学校のカリキュラムにもサッカーを取り入れ、国内にサッカー場を増やす決定をしました。サッカー場を確保するために、ゴルフ場をぶっつぶす計画だそうです。

習総書記の夢に不可欠なのが、外国人選手の存在です。海外で活躍する一流の選手を中国のナショナルチームに大量に投入し、強制的に国民のレベルを引き上げようというのです。

中国は既にブラジル人選手25名と契約しています。例えば、Jiangsu Suning F.C.は、アレックス・テイシェイラ56百万ドル(約62億円)で契約、MFのラミレス36百万ドル(約40億円)で契約しています。また、中国はサッカー選手に留まらず、ブラジル代表チームの元監督2名(マノ・メネーゼス監督ルイス・フェリッペ・スコラーリ監督)とも契約しています。

アーセン・ベンゲル監督によると、「中国は欧州リーグを丸ごと購入する財政力を有しており、彼らの食欲がいかほどか知らないが、我々はこの件に関して懸念しなければならない。」と語っています。

これは、習総書記の夢であるから、いつの日か欧州チームの選手を1億ユーロ(約123億円)で引き抜き日もあり得るかもしれない、と記事は締めくくっています。