世界で最も翻訳しにくい単語、サウダージの意味

日本人にも馴染みのあるポルトガル語の単語でぱっと思いつくのは、「パラソル(日傘)」「カーザ(家)」「ポン(パン)」「レオン(ライオン=ジャングル大帝)」などがあります。

今日のテーマである単語、「サウダージ(Saudade)」も知っている人は多いと思います。サザンオールスターズやポルノグラフィティの歌で知ったという人もいるかもしれません。日本人にも好きな人が多い「サウダージ」という単語には、ブラジル人も特別な感情を抱いています。

ポルトガル語以外には存在しない単語、サウダージ

サウダージに相当する単語はポルトガル語以外には存在しないと言われています。というのも、ポルトガル語以外の言語で「サウダージ」を適切に表現するためには、どうしても単語一つでは表現できないからです。その事実を裏付けるように、イギリスの会社が行った1000人の翻訳家への調査「世界で最も翻訳しにくい単語ランキング」の中で、「サウダージ」は7位に選出されています。

サウダージは、本当にポルトガル語にしかないのか確かめるために、同じラテン語系の言語をGoogle翻訳で調べてみました。すると、サウダージの同意語は、スペイン語・イタリア語では「nostalgia」フランス語では「nostalgie」と翻訳されました。

サウダージの意味

サウダージは、「何か」又は「誰か」から距離が離れていること、又はそれが無いことにより引き起こされる感情をいいます。言語の由来は、ラテン語で孤独を意味する”solitas, solitatis”にあります。ブラジル人がサウダージを感じる時、過去に起こったことの記憶、また過去の経験をもう一度経験したいという強い感情を抱きます。恋愛の詩や歌詞に使われることが多い言葉のひとつです。

言い伝えによると、サウダージはポルトガル人がブラジルを発見した時代に造られた言葉だということになっています。祖国や家族から遠く離れて、ブラジルに到着したポルトガル人が抱いた感情が「サウダージ」という言葉になったのでしょう。

カブラルのブラジル発見
リオデジャネイロ国立歴史博物館蔵
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サウダージの例

「サウダージ」は必ずしも愛情表現に使用されるのみではなく、色々な局面で使用することができます。

  • 友との別れを悲しむ時
  • 慣れ親しんだ食べ物を久しく食べていない時
  • 生まれ故郷に再び戻りたいと思う時
  • 人生の中で最高にハッピーだった時期を懐かしむ時
  • 亡くなってしまった両親を思う時

以前、日本に久しぶりに帰国することになり、家族と会うという話をブラジル人にしたところ、「“matar a saudade”するんだね!」って言われました。“matar(マター)”というのは、「殺す」という意味で使われることが多い単語なので、マター・ア・サウダージと言われると、なんだか日本に家族を殺しに行くみたいだな、と一瞬つまらないことを考えてしまいました。辞書を引くと、matarには、「満足させる」という意味もあるようで、“matar a fome(空腹)”という表現もありました。意味としては、「空腹を満たす」ということになります。

そばにいたブラジル人に「なんで、“matar a saudade”って言うの?」と聞いたところ、「そんなこと、知らん。だが、今日はフェイジョアーダの日だから、おれはマター・ア・サウダージ・ジ・フェイジョアーダだ!」と言って、彼はフェイジョアーダを食うために去っていきました。