ブラジルで最も貧乏な州にある世界遺産の町

ベレンに行ったついでに、マラニョン州の州都であるサン・ルイスに立ち寄りました。サン・ルイスは、ブラジルでは唯一フランス人によって築かれた町であり、植民地時代にヨーロッパの美しいタイルで飾られた旧市街はユネスコの世界遺産に登録されています。

レンソイス・マラニャンセス国立公園

この町を訪れる日本人の多くのお目当ては、サン・ルイスの町そのものよりも、その近郊にある「レンソイス・マラニャンセス国立公園」の白い砂丘でしょう。この国立公園は、雨季(5~10月頃)になると、白い砂丘に雨が溜まって青い湖を形成し、そこに魚が孵化するという不思議な光景が見られることで有名です。国立公園を訪れたことのある日本人からは、「非常に良かった」という感想を聞きます。

主人が何度も変わった町、サン・ルイス

今回、サン・ルイスに立ち寄ったのは、11月のオフ・シーズンでした。国立公園も機会があれば行って見たかったのですが、個人的には「サン・ルイスは、ブラジルで唯一フランス人によって築かれた町」というフレーズに惹かれました。調べて見るとフランス人だけではなく、オランダ人が占領していた時期もあり、歴史的に興味深い地であることが分かりました。オランダに占領されていたレシフェも然りで、「ポルトガルの植民地だったブラジル」とはヒトコトでは言い切れない所に歴史の面白さを感じます。

ブラジルで最も貧しい州、マラニョン州

サン・ルイスの空港に降り立ってすぐに、ある違和感を覚えました。ベレンから到着した飛行機でサン・ルイスに降り立った乗客が20人にも満たなかったこと、空港が州都にしては小さく、簡素であったためです。

簡素な造りのサン・ルイス空港
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その違和感は、タクシーに乗り込んで市街に向かう時にますます強くなりました。車窓から見える景色は、州都というよりも内陸部の地方都市の景観で、平屋建の背の低い建物ばかりで、むき出しの赤土と乾燥地帯特有の有刺灌木が哀愁を醸し出していました。建物は土ホコリで汚れていて、見えるのはタイヤ修理屋や薄暗い商店などで、洒落た店は一つもありませんでした。サン・ルイスは、「ここは本当に州都なの?」と思ってしまうほど、インフラ開発が遅れているように感じました。

車窓から見えたサン・ルイスの街並み
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その時にふと、そういえばマラニョン州は、IBGEの調査でブラジルの最も貧しい州であるというニュースを読んだ記憶が蘇えりました。住民の60%が貧困層であり、サンパウロの16%と比べると際立って多いことが分かります。

世界遺産の街並み

サン・ルイスの旧市街の雰囲気は、オリンダやサルバドールの旧市街に似ており、この2都市同様にサン・ルイスの旧市街もユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されています。旧市街にあるポルトガル通りには、ヨーロッパの美しいタイルを使った建物が最も多く残っています。

サン・ルイスの旧市街(ポルトガル通り)
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サルバドールの旧市街
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オリンダの旧市街
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4つ星ホテルに哀愁を感じる

サン・ルイスの主な観光スポットは、旧市街に集中しているため、旧市街にあるホテルに宿泊するのが効率的です。

旧市街にある高級ホテル(4つ星)、Hotel Grande São Luis(グランジ・サン・ルイス・ホテル)に宿泊しました。このホテルは、町の中心(ドン・ペドロ二世広場)にあるセー教会の真横に建てられたホテルで、東京で例えるなら、浅草寺の真横に建つホテルという好立地にあります。

主要な観光スポットには徒歩で行ける素晴らしい立地の4つ星ホテルですが、宿泊料金は2人で一泊163レアル(約5,400円)と不安になるほどの安さでした。

広い敷地内には、プール、ジム、サウナなども併設されているのですが、築年数が古いために、そのような低価格が付けられているものと思われます。昔は一等級のホテルとして輝いていたのだろうと思わせる面影がそこかしこにあり、哀愁が漂っています。ブラジルの地方に行くと、しばしばこのようなホテルに出会います。

町の中心にあるセー教会
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セー教会の真横にあるグランジ・サン・ルイス・ホテル
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質素な客室
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浮浪者と酔っ払いにバカップル、小便の臭い

サン・ルイスの旧市街は、ユネスコの世界遺産に登録されるだけのことあって、美しいタイルの建物が見ごたえありました。ちらほらと観光客らしき人も見かけました。

一方で、朽ち果てて廃墟になったまま放置されている建物も少なからずありました。おそらく、政治家が汚職でインフラ整備費用を着服しているため、修繕の予算が足りなくなっているのではないかと思います。そんな建物の玄関には、浮浪者がダンボールを敷いて横たわっており、少し治安の悪さを感じました。サン・ルイスを訪れたのが土曜日だったからなのか、金曜日の晩から飲み続けている酔っ払いをちらほら見かけました。酔っぱらいオヤジは、意味不明のことをブツブツ言っていました。広場にあるベンチでは、周囲に構わず、ドラマチックな接吻と抱擁を交わす田舎っぽいバカップルを何組か見かけました。町の至る所で、小便の臭いがしていたのも残念な点でした。市の職員が道の掃き掃除をしていたので、道に落ちているゴミは少なくてよかったです。

改めて別の記事で町の様子をご紹介します。