毒汁シビレ草づくし!ブラジルの超人気レストラン

先週はブラジル北部にあるパラ州の州都ベレンに行ってきたのですが、夕食の時にとても楽しいレストランに連れて行ってもらいました。

ベレンの隠れ家レストラン

そのレストランは、ベレンの中心から少し離れた住宅街の少し分かりにくい場所にあります。案内してくれた人が車を停めて、「到着しました」といった時、周りを見渡しても住宅があるばかりで、どこにもレストランが見えませんでした。住人以外の車両は進入禁止になっているような小道を100メートルほど歩くと袋小路になっていて、突き当りの右手にある建物がレストランだと教えてもらいました。

袋小路の先にある「ヘマンソ・ド・ペイシ(Remanso do Peixe)」という名前のレストランの店先には、店名を示す看板すら置かれておらず、通りかかって偶然入るということが100%ありえない構造になっています。「ヘマンソ・ド・ペイシ」というのは直訳すると、「さかなの逆流(よどみ)」ですが、その由来は良くわかりません。

レストランの外観

オーナーのカスターニョ家が自宅の居間でピザを提供し始めたのがレストランの起源だということです。現在は、チアゴ・カスターニョ料理長が腕を振るうパラ州の郷土料理レストランになっています。

立地の分かりにくさや外観からは、まさに「隠れ家レストラン」の名にふさわしい様相ではありますが、ひとたび店内に足を踏み入れると、洒落た内装の落ち着いた空間が広がっていました。

雑誌VejaQuadro Rodasから何度も表彰されていました。

パラ州の名物料理

メニューを見ると、アヴィウ、フィリョッチ、ジャンブー、トゥクピー、トゥクナレなど、州外から来た人には見慣れない名前が沢山並んでいます。

ジャンブーのカシャッサ

まず目についたのが、ジャンブーのカシャッサです。「パラ料理と言えばジャンブー」と言っても過言ではないですが、そのシビレ草のジャンブーが入ったカシャッサとなれば飲まない訳にはいきません。

見た目は熟成ピンガの様ですが、飲んでみると、ジャンブーの成分が濃縮されていて、舌が強烈にピリピリします。イメージ的には、山椒を大量にカシャッサに溶かして飲んだらこんな味になるだろうと思います。このしびれ感には持続性があって、しばらくの間は何を食べてもピリピリするという凶暴さを持っていました。他ではなかなか味わえない、不思議な感覚です。

パラ州のビール

ベレンのビールと言えば、アマゾンビールの他に、セルパ(CERPA)が有名です。セルパは、パラ州ビール醸造所(Cervejaria Paraense S.A.)をそのまま短くした名前で、1966年にドイツ人移民によってベレンに設立された会社のブランドです。

ヘマンソ・ド・ペイシには、最近発売されたというプレミアム・ビール「セルパ・プライム」が専用の冷蔵庫に入れて冷やされていました。何本か注文したのですが、いずれもビンに霜のついた理想的な状態で提供されました。

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カスキーニョ・デ・カランゲージョ


最初に出てきた料理は、「カスキーニョ・デ・カランゲージョ(casquinho de caranguejo)」と呼ばれるカニのほぐし身です。いつも食べ慣れている味と違って、苦味が少なくて柔らかく、感動するほどの美味しさでした。ベレン在住の人から、「これは五右衛門という青くて毛が生えていないカニだよ」と教えてもらいました。後で調べたところ、五右衛門というのは聞き違いで、正しくはグアヤムン(Guaiamum)というカニでした。

大変どうでも良いことですが、ブラジルには釈迦頭とチェリモヤを掛け合わせたアテモヤ(Atemoia)という果物があって、最初の頃はアテモヤと聞くと毎回、熊本県の「おてもやん」が脳裏に浮かんでいました。他にも同じように思った日本人が一人くらいは居るのではないかとひそかに思っています。

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トゥクピーのスープ

前菜に頼んだのは、カウド・ド・トゥクピー(トゥクピーのスープ)と呼ばれる料理。フェイジョン豆や魚のスープは、普段から良く飲んでいますが、トゥクピーのスープは初めてです。トゥクピーというのは、毒(シアン化合物)を含んだマンジョッカ・イモから作られた水分です。詳しくはこちらの記事をどうぞ。

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スープの器はココナツの実を利用して作られたもので、ペロペーゾ市場で見かけたことがあります。トゥクピーの中にはジャンブーが入っていました(汁の中に浮かんでいるワカメのようなヤツです)。パット・ノ・トゥクピーよりも優しい味付けで、見た目よりも飲みやすい仕上がりになっていました。

パラ州に長く住んでいる日本人曰く、トゥクピーは日本人にとっての味噌汁のようなもので、しばらく飲んでいないと恋しくなるような日常性を帯びた食品なのです。

魚(フィリョッチ)のカルデイラーダ


店の看板料理は、魚(フィリョッチ)のカルデイラーダです。「魚のおでん」とも形容できるこのスープには、魚のだしがギュッと凝縮していて、一口飲むとおいしさに思わず笑顔がこぼれてしまいます。うまくてほっぺたが落ちるというのは、このスープのためにあるのではないかと思います。スープには、ジャンブーも入っています。

ペロペーゾ市場で見かけたフィリョッチ

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バクリーのティラミス


バクリーのティラミス(Tiramisu de bacuri)」という面白いデザートがありました。バクリーと言うのは、黄色い皮の中に白い果肉が詰まったアマゾンのフルーツです。香りが強く、アイスクリームやジュースになったバクリーを良く見かけます。

こちらはバクリーの冷凍ピューレ

バクリーがティラミスに出会ったことで、香りが良くなり、また、味に深みが出ていました。カルデイラーダで満腹だったので、注文するか迷ったのですが、食べておいて良かったです。

お土産コーナーには、バクリーのリキュールも販売していました。

お土産コーナー

店内の片隅にお土産コーナーがあったのですが、アマゾンの植物を上手に使った商品コンセプトが面白かったです。

アサイーの入ったピメンタ(唐辛子)

トゥクピーのピメンタ。パラ州の人々はこの液体をいろんな料理にふりかけます。

クプアスのジャム

カカオバーを葉っぱでくるんだ商品

マンジョッカのファリーニャ(粉)
パラ州のファリーニャは小石サイズで、ジャリジャリします。アゴが丈夫になりそうです。

ベレンに行く機会があれば、是非行って見てください。場所は分かりにくいですが、行く価値ありです。