ジョンペッソーアの有名な夕日クルージングツアー

アメリカ大陸で最初に朝日が昇る町、ジョンペッソーア(パライーバ州の州都)では船の上でラヴェルの『ボレロ』を聴きながら夕日を眺める有名なクルージングツアーがあります。ジョンペッソーアから車で20分ほど北上した場所に「プライア・ド・ジャカレ(Praia Fluvial do Jacaré)」とよばれる場所があり、ここでツアーに参加できます。

事前情報があまりない中、夫婦でツアーに参加したのですが予想以上に楽しかったので、ここでその詳細を紹介します。

ツアーの開始時間

ホテルの人からは、ツアーに参加するためにはプライア・ド・ジャカレに16時には到着していた方が良いと言われていたのですが、我々が到着したのは少し遅れた16時10分頃でした。地図を頼りにプライア・ド・ジャカレらしき場所にレンタカーで到着すると、ラフな格好をしたブラジル人の若者が10名ほどワラワラと集まってきました。どうやら彼らは駐車場の管理人らしく、やってきた客をなんとか自分の駐車場に呼び込もうと必死に呼び込みをしてきました。学生時代、インドをバスで旅した時に目的地に降りた瞬間に安宿の客引きが群がってきたのを彷彿とさせました。その内の一人に従って車を駐車すると、そのままクルージングツアーの受付まで案内されました。

こちらでツアー代金を支払います。

クルージングの料金は一人35レアル(約1,300円)で、16時30分に開始するとのこと。間に合ってよかったです。客待ちをしていたので、結局ツアーが始まったのは17時頃でした。ツアーは17時頃から日が沈む18時頃まで60分ほど続きました。

プライア・ド・ジャカレのシンボル、ジャカレ(ワニ)

ツアーの内容


ツアーでは上の写真に写っている船に乗り、パライーバ川を遊覧しました。最初に真っ白な衣装に身を包んだサックス奏者が登場し、2曲の生演奏が披露されました。後で知ったことですが、このサックス奏者はクルージングツアーのキーマンであり、ジュランディー・ド・サックス(Jurandy do Sax)という名前で通った人であることが分かりました。かれは、プライア・ド・ジャカレで17年間にわたって活動を続けていると話していました。

その後、船はパライーバ川を遊覧して日が沈むのを待ちます。夕日が沈むころになると、どこからともなく例のジュランディー・ド・サックスが小舟に乗って現れ、沈む夕日と一緒にロマンチックな音楽(ラヴェルの『ボレロ』)を奏でます。この日は、雲が多かったのでベストな夕日は見られなかったのですが、それでも雰囲気は楽しめました。

ジュランディー・ド・サックスは、我々の乗った船の周りを小舟でクルクルと回りながらサックスを奏でます。音は、無線で船内のスピーカーに飛ばされていました。生演奏中には彼の息子が親父のCDを販売していました。

あんなに遠くまで行ってしまったジュランディー・ド・サックス。シュールです。

夕日が沈んだ後は、カンガセイロと呼ばれる義賊に扮した男女によるダンスショーとフォフォー(フォークダンス)が始まります。

ブラジルのクルージングツアーでは、必ずと言って良いほど最終的には乗客も半強制的に踊らざるを得なくなります。嫌なら拒否しても良いですが、羞恥心を捨ててブラジル人に誘われるまま身を任してみれば、最後には気持ちの良い開放感を味わえるかもしれません。

踊りの下手な筆者にやさしく手ほどきしてくれるマリア・ボニータ女史

最後はマイムマイム的なことをして終わります。

プライア・ド・ジャカレ

プライア・ド・ジャカレには、みやげ物屋が立ち並んでいて、ツアーに参加しなくても、みやげ物屋を見て歩くだけでも楽しめます。ゆっくり見ても30分くらいで見て回れるほどの小さな規模で、素朴な民芸品などが販売されています。

サックスやバイオリンの生演奏も聴くことができます。

プライア・ド・ジャカレ」は、翻訳すると「ワニの淡水浴場」という意味になります。

かつて、この辺には水上郵便局があり、水陸両用の小型飛行機がパライーバ川に発着していました。飛行機が川に着陸する時、川の水が波を作り、ワニが口を開けているように見えたことから、川辺に住む人々が「ワニ(ジャカレ)」と呼ぶようになったのだとか。他にも、かつてこの集落の周辺にワニが生息していたことに由来するとする説もあります。

ツアーのテーマソングでもあるラヴェルの『ボレロ』は、プライア・ド・ジャカレにあるバーの主人が外国人にもらったLPを流し始めたのがきっかけで、いつしかパライーバ川の風物詩になったものです。

ある時、プライア・ド・ジャカレの川辺にあるバーにて、1981年のフランス映画『愛と哀しみのボレロ』のLPを流していた時にタイミング良く夕日が沈み、客に好評を博しました。これをきっかけに、ボレロを流しながらパライーバ川に沈む夕日を眺めることが、そのバーでの人気アトラクションとなりました。そのバーはつぶれてしまいましたが、2001年にサックス奏者のジュランディー・ド・サックスが、LPを流すのではなくて、カヌーに乗って生演奏することを考案し、これが現在のクルージングツアーのきっかけとなったのです。

ジュランディー・ド・サックスの活躍はフランス政府からも認められ、彼は2005年にはフランス政府の招待を受けて、 パリを訪れています。モーリス・ラヴェルの墓の前で『ボレロ』を披露しています。