アマゾンの怪魚ピラルクより巨大な魚が居た!?ピラニアやピラルクの名前の由来

日曜日の朝、NHK大河ドラマ『真田丸』を視た後、テレビをつけっぱなしにしておいたら、偶然NHKスペシャル『大アマゾン』最後の秘境という番組が放送されているのを発見しました。ジムに行くつもりだったのですが、『大アマゾン~伝説の怪魚と謎の大遡上~』と聞いては見ないわけにはいきません。そのままテレビにかじりついて見ました。

NHKスペシャル『大アマゾン』最後の秘境

松田龍平による抑揚の無いナレーションにより、アマゾンの「未知のもの」を浮き彫りにするこのシリーズは、4月10日に放送された『伝説の怪魚と謎の大遡上』を皮切りに、毎月4話に渡り放送されるようです。シリーズタイトルは次の通り。

第1集 『伝説の怪魚と謎の大遡上』2016年4月10日午後9時放送
再放送 2016年4月13日午前0時10分(12日深夜)
第2集 『ガリンペイロ 黄金を求める男たち』2016年5月8日午後9時放送
第3集 『緑の魔境に謎の猿を追う』2016年6月12日9時放送
第4集 『原初の人々 イゾラド』2016年7月放送予定
http://www.nhk.or.jp/special/amazon/

第1集もめちゃくちゃ面白かったですが、第2集以降のタイトルもとても惹かれます。これは秘境好き、ブラジル好きは見逃さずに見るべし、ですね。

ピラニアの名前の意味は「歯を持つ魚」

第1集では、ピラニアの名前の由来を紹介していました。ポルトガル語で「ピラーニャ(piranha)」と呼ばれるこの魚の名前は、トゥピ語で「ピラ(pirá)=魚」「アーニャ(anha)=歯」の合成語だと言います。つまり、ピラニアの名前を翻訳すると「歯を持つ魚」という意味になります。

調べたところ、もう一つ説があって、それはやはりトゥピ語で「ピラ(pira)=肌」「ライム(raim)=切るもの」の合成語、すなわち「肌を切り裂くもの」という意味だという説があるそうです。どちらにしても恐ろしい名前ですね。

ピラツナガリを探そう

「ピラ」と言うのが魚を意味すると知っていると、アマゾンの魚で他にも「ピラなんちゃら」という魚が居るのに思い至ります。

ピラーラ(レッドテールキャットフィッシュ)

例えば、日本ではレッドテールキャットフィッシュと呼ばれてペットとしても人気のある大型ナマズは、ポルトガル語では「ピラーラ(Pirara)」と言う名前で呼ばれています。これは、「ピラ(Pira)」「アラーラ(Arara)」の合成語です。アラーラというのは、コンゴウインコのことだと思っていたのですが、同じ名前のアララ族というインディオの部族が居るそうです。

ピラルクー

ピラといえば、最初に思いつくのはやっぱり、「ピラルクー(pirarucu)」ですよね。ピラルクーについては、ぼくが御託を並べるよりも開高健の説明を引用したほうが良いでしょう。少々長いですがお付き合い下さい。

ピラはインディオ語で“魚”、ウルクーはそういう名前の赤い灌木。その二つがくっついてリエゾンしてピラルクーとなった。別名をアナット。学名はアラパイマ・ギガス。イソスポンディルスという一族に属する魚である。この一族は広大で、遠い親戚にはニシンやイワシがおり、近い親戚ではアロワンナやターポンがいる。棲息地は南米大陸の北部、アマゾン本流とその支流に多い。非常に成長の速い魚で、最大は身長が四・五メートルから五メートルになり、体重は二○○キロに達する。(中略)
頭は胴に比べて小さいが鎧のように硬くて皺がより、上からみるとちょっとワニに似ている。胴全体をこれまた鎧のように硬い鱗が蔽っている。この鱗の白い部分で漁師はピラルクーを刺すアルボン(銛【もり】)を磨き、大工は家具を磨き、美容師は女の爪を磨く。舌は一○センチから二○センチの長さがあり、骨があって、表面が無数の小さな凸起でザラザラになっているので、オロシ金として使い、ガラナや薬品を粉にする道具になる。ピラルクーの下半身の鱗はふちが赤く、尾に近づくにつれて鱗全体が赤くなるので、たいそう艶美な魚でもある。餌の小魚を追うときにしばしば体を水面にあらわし、ガバッガバッとくねるが、まるでコイノボリか龍を見るような壮観で、思わず見とれてしまう。この魚は一○分か二○分おきに空気呼吸をするために浮揚してくるが、そのときは水音だけである。それを聞きつけて漁師は銛をかまえてこっそりとカノアでしのびより、つぎに浮いてくるのを待ちうける。炎天のしたで半日でも一日でも、ひたすら待ちうける。
サケ、マスの一族の年齢はせいぜい二○○万年から四○○万年だが、この魚は一億年間、しかも、姿形をまったく変えないで生きのびてきた。だから進化史上の奇蹟だと見る人がいる。

NHKの番組では、地元の漁師が銛を構えて、ピラルクーが呼吸するタイミングを待ち、銛で一突きするという漁の仕方が紹介されていました。約四十年前の昭和五十二年に行われた開高健のブラジル・フィッシングの旅から何一つ変わらない漁の仕方が現代にも受け継がれていました。

ちなみに、こちらはベレンのベロペーゾ市場で見た、ピラルクーの名前の由来ともなったウルクーです。
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こちらは、ピラルクーの鱗。鱗の色が特徴的。
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ピライーバ(ピラルクより大きな魚?)

piraiba
番組の最後の方に登場したのが、「ピライーバ(Piraíba)」という巨大ナマズ。名前の由来は、トゥピ語で「ピラ」「アイーバ(aíba)=ruim」の合成語です。「ruim」というのはポルトガル語で、役に立たないとか有害なといった意味があります。なんでそんな名前が付けられたのかは調べても分かりませんでした。体重が60キロ以内のピライーバは「フィリョッチ(filhote)」とも呼ばれます。ピライーバと言う名前は聞いたことが無かったですが、フィリョッチは美味しいという話をベレン在住の人に聞いたことがあります。

この巨大ナマズは、絶滅の危機に瀕していて、現在では商業的な漁が禁止されているとか。NHKによると、ピライーバはピラルクーよりも大きくなるという話でした。ピラルクーが最大の淡水魚だと信じていたのですが、間違いだったようです。

この機会に『オーパ!』を読み直したところ、こんな記述がありました。

(ピラルクーは)全世界の淡水魚中、最大の魚だとされていて、その定評は動かないが、アマゾンのナマズでピライーバというのが二○○キロもの体重になるのがいる。ただしこれは革魚と呼ばれ、鱗が無いから、ピラルクーは鱗のある魚としては世界一の淡水魚だと呼ぶのが正確なようである。

はい、ポイントは鱗の有無でした。目から鱗が落ちました。ピライーバと言うのはこれまで聞いたことが無かったですが、今後は記憶に留めておくことにします。

今更ですが、開高健『オーパ!』をむさぼり読んでしまいました。
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