毒スープ、シビレ薬の入った謎のブラジル料理を食べてみた

ブラジル北部パラ州の郷土料理で、パット・ノ・トゥクピー(Pato no tucupi)という料理があります。パラ州の州都、ベレンに住んでいたことのある日本人に聞くと、パット・ノ・トゥクピーの味が忘れられないという感想を聞きます。

パラ州に行ったことがない日本人の多くには、「パット・ノ・トゥクピー」と言われてもピンとこないと思います。ブラジル通の先輩の説明によると、「毒入りマンジョッカから作ったトゥクピーという黄色い液体でアヒル肉を煮込み、その上に、ジャンブーという舌がピリッとシビれる野菜を入れるのだ」ということでした。「トゥクピー」やら「ジャンブー」やら聞いたこともない単語ばかりで、しかも「毒」「シビれる」という物騒な単語もあり、余計に分からなくなりました。

先日、ベレンに行く機会があったので、この「パット・ノ・トゥクピー」なる料理を食べてみました。場所は、観光施設「Estação das Docas(エスタサン・ダス・ドッカス)」の右側にあるレストランです。
http://tabatashingo.com/top/estacao-das-docas/

パット・ノ・トゥクピーはどんな味?

dscn9797
パット・ノ・トゥクピーは、アヒル肉を焼いたものをカットして、トゥクピーに浸けて煮込んだ料理です。味付けには、にんにく、チコリ、レモン、トマト、玉ねぎなどが使用されています。

黄色いスープ(トゥクピー)は、甘酸っぱい味付けでした。ジャンブーと呼ばれる野菜は、舌の上に乗せると、ピリッと不思議なシビれる感覚がありました。ジャンブーの味自体は、あまり個性が強くないので、このシビれる感覚を出すのがこの料理に使われる主な目的ではないかと思います。トゥクピーの味が濃いので、それを引き締める役割をしているのだと思います。

食べ方ですが、ブラジル料理の多くがそうであるように、スープ、ごはん、ファロッファ(マンジョッカ粉)を全部ひとつの皿に盛って食べます。
dscn9798

トゥクピー(tucupi)とは何か

トゥクピーというのは、毒(シアン化合物)を含んだマンジョッカ・イモから作られます。マンジョッカの外皮を剥いてすりおろしたものを絞って少し休ませます。すると、ゴマと呼ばれる固形分が沈殿し、液体部分と分離します。この液体部分が、トゥクピーになります。この段階では毒(シアン化合物)を含んでいるので、これを3~5日間煮込みます。

ゴマと呼ばれる固形分は、水で何度か洗ったあとに乾燥され、タピオカ粉になります。タピオカ粉は、ブラジル中で見かけることができますが、トゥクピーは主に北部のパラ州の料理に使用されます。

ベレンのベロペーゾ市場に行くと、ペットボトルに入れられた黄色い液体が屋台で売られているのを見かけます。
dscn9782

http://tabatashingo.com/top/mandioca/
http://tabatashingo.com/top/bubble-tea/

トゥクピーの製造過程を紹介した動画
わかりやすいです。

ジャンブー(Jambu)

ジャンブーという植物は、英語ではAcmella oleracea(アクメラオレラセア)と呼ばれるキク科の植物です。ブラジルでは北部の料理に利用されていますが、マダガスカルや東南アジアでも食されています。

ジャンブーは、噛むとシビれる麻酔効果があるので、歯痛治療の麻酔薬として、また、食欲増進のための用途で使用されていました。パット・ノ・トゥクピー以外にも郷土料理タカカー、ピザやパステウの具材に使用されます。

ベロペーゾ市場で売られるジャンブー
dscn9788

dscn8416

ベロペーゾ市場では調理加工済みのジャンブーも売られている
dscn9786

食べなれるとやみつきに?

日本人で、このパット・ノ・トゥクピーにハマってしまう人が続出しています。以前ベレンに住んでいた人で、日本に帰ってもその味が忘れられないという話を何回か聞いたことが有ります。

ベレン在住の日本人女性の方が、友人に乞われてわざわざベレンからパット・ノ・トゥクピーを日本に持って行ったという話も聞いたことがあります。トゥクピーはそのまま持ち込み可能ですが、ジャンブーは一度湯通しして、冷凍させて持っていくそうです。その女性は、アヒル肉まで冷凍してベレンから持っていくツワモノでした。

日本では口にする機会は滅多にないですが、日本で開催されるブラジル祭りなどで出品されることもあるようです。池袋のサンシャインシティで行われた「フェスタドブラジル」でもアヒル肉の代わりに鶏肉を使用したフランゴ・ノ・トゥクピーが出品されていました。機会があれば、是非一度食べてみてください。

9月11日(金)~13日(日)に池袋・サンシャインシティで開催されている「フェスタ・ド・ブラジル2015」 ワールドインポートマートビル4階の「ブラジルエキスポ」と「空のマルシェ」では...
アマゾンの巨大魚ピラルク、ピラニアに会えるヴェロペーゾ市場
ベレンのグアジャラ湾に面する場所に、ヴェロペーゾと呼ばれる市場があります。 野菜、果物、魚、民芸品の屋台が立ち並び、東南アジアの市場に似た活気、喧噪が渦巻いています。 地元に住んでいる方に案内してもらい、朝7時に市場を訪れました。 ...