ブラジルの年末の風物詩、パネトーネの誕生秘話


クリスマス・シーズンになると、ブラジルのスーパーの店頭には「パネトーネ(panettone)」と呼ばれる甘いお菓子の入った箱が山のように陳列されるようになります。イタリア語の発音ではパネトーネ、ブラジルではパネトーニと発音されます。パネトーネは、小麦粉、牛乳、卵をベースに酵母を入れて発酵させたケーキに、干しブドウや果実の砂糖漬けを刻んだものをまぶしたお菓子です。柔らかくて、バニラの香りがします。現代ブラジルにおいては、ドライ・フルーツにとどまらず、チョコチップ、コンデンス・ミルク、ココナッツ・ペーストなどが入ったパネトーネも販売されています。チョコの入ったパンはチョコトーネ(chocottone)、パネトーネにアイス(sorvete)を詰めたパンはソルベットーネ(sorvetone)という名前で呼ばれています。

もともとイタリアのミラノ発祥のお菓子で、年末のお祝いごとにパネトーネを食べる習慣は現在では海外にも普及しています。ブラジルでは、第二次世界大戦後にやってきたイタリア人移民が、パネトーネを持ち込んだと言われており、現代においてもクリスマス・シーズンの風物詩となっています。ついでながら、ブラジルでは12月24日のクリスマス・イブにパネトーネを食べることが一般的です。

パネトーネの誕生秘話①-愛の結晶

パネトーネの誕生に関してはいくつもの言い伝えがあるのですが、最も良く知られているのは、「トニーのパン(Pão do Toni)」という言い伝えです。15世紀のイタリア・ミランにおいて、ある裕福な家庭の息子(仮に「マルコ」とします)が、パン屋の娘に恋をしました。

娘の父親であるトニーは、マルコが娘と付き合うことを認めませんでした。娘との交際を認めてもらいたいマルコは、トニーの信頼を勝ち得るために、変装してトニーのパン屋で働くことにしました。マルコとトニーはその後、教会の丸天井をイメージした新商品の開発に成功します。斬新なアイデアを盛り込んだ新商品は瞬く間に人気となりました。マルコは、トニーの名前を取って、新商品を「トニーのパン(pane di Toni)」と名付けることにしました。これが、パネトーネの名前の由来の一説です。

パネトーネの誕生秘話②-災い転じて福と為す

クリスマス・イブにパンとパイを焼くのに追われていたトニーは、長時間労働で疲労したために、間違えてパンの生地にパイの材料である干しブドウを入れて混ぜてしまいました。何とか、挽回しようとしたトニーは、パイに砂糖漬けの果実とバター、卵などを加えて焼くことにしました。

トニーは、焼きあがったものを恐る恐るシェフに見せると、予想外に美味しく、クリスマス・イブのデザートとして馬鹿売れしました。シェフは、発明者のトニーに敬意を表して、そのお菓子を「トニーのパン(pane di Toni)」と名付けることにしました。

パネトーネの発展

イタリアではパネトーネの他に、パンドーロと呼ばれるお菓子もあります。これは、ヴェローナ発祥のお菓子で、パネトーネの砂糖漬け果実が入っていないバージョンです。その他にも、イタリアではチョコレート、ピスタチオ、ビール、リモンチェッロ(レモンのリキュール)、甘いワイン等を入れた様々なパネトーネが楽しまれています。

賞味期限が長い

12月の初旬に勤務先の会社で、クリスマス・セットと称して色々な食品が詰まった箱をもらいました。その中にパネトーネも入っていたのですが、賞味期限が6カ月も先の日付になっていて驚きました。クリスマス・イブに食べるなら、長くても30日くらいあれば十分だと思うのですが、なぜ6カ月も?と疑問に思い調べて見ました。

賞味期限が長い理由は「パネトーネ種」という酵母が握っていました。

この点に関して、コモパンのウェブサイトが詳しかったので以下、引用します。

「パネトーネ種」はイタリア北部で100年以上も前から伝統的に受け継がれている特別な酵母。空気や気候など、諸条件が揃った北イタリアの環境でしか生育できない酵母と乳酸菌が共生しています。

パネトーネ種の特長 – 水分活性が低い
パンの味が損なわれたり、傷んでしまうのは、カビなどの微生物の発生と深く関わっています。パネトーネ種のパンは微生物が利用できる水分比率を示す水分活性が低いため、保存料無添加であるにも関わらず、微生物が発生しにくく、長期間にわたり、おいしさが長持ちするのです。


パネトーネ種の特長 – 賞味期間が長い

パネトーネ種に含まれる乳酸菌は、糖を発酵して乳酸やアルコール、酢酸、炭酸ガスを生成。生地のpHを低下させ汚染細菌の生育を防止するため、通常のパンの賞味期間が2〜3日であるのに対し、35〜180日という長期保存が可能となるのです。

実際に食べてみました

実際にブラジルで売られているパネトーネを食べてみました。

柔らかいパンの中に入っている砂糖漬けフルーツが甘みのアクセントになります。リキュールの入ったお菓子を食べているように感じます。美味しいと言えばおいしいですが、個人的には、また食べてみたいとまでは思いませんでした。ブラジル人向けの味付けに変更されているかもしれないので、本場イタリアのパネトーネも一度食べてみたいです。

スーパーに山のように陳列されるパネトーネ

パン屋の作ったパネトーネ

ミニパネトーネ

Cacau showの高級パネトーネ

同じくcacau showのパネトーネ
甘すぎて鼻血がでそうです。