銀行から宝くじを売りつけられそうになった話

クリスマスの少し前に、口座を開設しているブラジル銀行のマネージャーのアナ・マリア(仮名)から電話が掛かってきました。ブラジルで銀行から電話が掛かってくる時は、ロクな用事ではないことがほとんどですが、案の定、それは商品の営業電話でした。

くじ引き券付き預金

アナ・マリアが持ってきたのは、現在投資しているLCIを20,000レアルほど解約してCapitalização(貯蓄)に投資しないか、という話でした。提案されたのはBRASILCAPの運営するOUROCAPという商品です。

アナ・マリアの説明によると、この商品は毎月くじ引きで当選すると、現金が振り込まれる権利のついた預金で、是非ポートフォリオに加えてくださいとの依頼でした。

株式投資の勉強をしたことがある人ならば、宝くじの投資収益率が如何に低いかということをご存知かと思います。OUROCAPという商品に対して、1ミリも興味が湧かないと率直に伝えたのですが、アナ・マリアは容易に引き下がろうとしません。毎年、12月は銀行員の業績評価の時期でもあるのか、このような営業電話は他にもありました。

アミーゴ社会のブラジル

話は変わりますが、ブラジルは何か物事を進めるさいに、アミーゴが居ると便利なことがあります。ブラジル銀行の場合、知り合いが居ない場合には、整理券をとって長時間待たなければならないのですが、銀行のマネージャーとアミーゴになっておけば、並ばずに問題解決してくれることがあります。

今回のくじ引き付き預金の件も、あきらかに預金者にとってデメリットの方が大きそうなのですが、アナ・マリアが余りにもしつこく営業してくるので、彼女との関係維持のためには10,000レアルくらいなら投資してもよいかなと思い始めました。

アナ・マリアに騙される

とにかく、くじ引き付き預金のメリットばかり話をするアナ・マリアに、「将来的に日本に戻ることも考えているので、1年で解約する可能性もある。この預金はいつでも解約できるのか?」と質問したところ、「満期は3年だが、1年経過すれば解約できる。その時は、元本の95%が払い戻しされます。沢山投資してくださいとは言いません。10,000レアル(約35万円)だけでも投資してください」との回答でした。まあ、10,000レアルならいいかと思い、承諾しました。

アナ・マリアは「契約書をメールで送るのでサインしてくれ」と言ってきました。彼女が送ってきた契約書を見ると、どうも電話で説明していた内容とは異なるようでした。まず、1年で解約した場合には元本の95%が払い戻されると言っていたのに、契約書では88%しか戻ってこないことになっていました。また、くじ引きが付いている代わりに利息が付かないようです。

OUROCAPの投資効率

ここで、冷静に現在投資しているLCIとOUROCAPの投資効率を比較してみました。LCIの金利は現在11%程度なので、これが1年続くと仮定した場合、下の図のように1年後には10,000レアル(約35万円)は11,157レアル(約39万円)に増えます。一方でOUROCAPの場合、10,000レアルを預けて1年後に解約すると、8,872レアル(31万円)に減ってしまいます。

月数 LCI OURO CAP 差額
利息 残高 返戻率 残高
1ヵ月 92 10,092 83.98% 8,398 1,694
2ヵ月 93 10,184 84.40% 8,440 1,744
3ヵ月 93 10,278 84.82% 8,482 1,796
4ヵ月 94 10,372 85.25% 8,525 1,847
5ヵ月 95 10,467 85.67% 8,567 1,900
6ヵ月 96 10,563 86.10% 8,610 1,953
7ヵ月 97 10,660 86.53% 8,653 2,007
8ヵ月 98 10,757 86.97% 8,697 2,060
9ヵ月 99 10,856 87.40% 8,740 2,116
10ヵ月 100 10,955 87.84% 8,784 2,171
11ヵ月 100 11,056 88.28% 8,828 2,228
12ヵ月 101 11,157 88.72% 8,872 2,285

2つの商品による投資損益は2,285レアル(約8万円)になります。もちろん、くじで当たればOUROCAPの投資損益が高くなる可能性もありますが、あまり期待できません。

元本の払い戻し率が、説明と契約書で異なっていたことが許せなかったので、アナ・マリアには丁重にお断りのメールを入れて、契約書にはサインをしませんでした。