むくつけき団についての生態観察

以前、「鳥のおばちゃん」に関する生態観察を書いたのですが、もう一つご紹介しておかなければならないものがあります。それは、引き締まった体にとてつもないパワーを秘めた「むくつけき団」についてです。

むくつけき団とは何か

ぼくはブラジルの田舎にある工場で働いているのですが、工場では重たい原料を投入したり、運んだりする従業員が10名ほどいます。肉体労働をする彼らの多くは、女性の太ももくらいはありそうな二の腕をもっています。

↓むくつけき団(多少誇張しております。)
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二の腕に刺青が入っている人もちらほらいて、肌は強烈な太陽の日差しに焼かれて真っ黒に焼けています。こういっては何ですが、初めて見たときはチンピラ以外の何者とも思えませんでした。薄暗い路地裏ですれ違ったら、襲われて金品を巻き上げられてしまうのではないかという想像をしてしまうような、少々恐ろしい風貌をしています。

彼らは支給された紺のキャップ、灰色のTシャツ、紺の作業ズボン、それに白の長靴を履いています。灰色のTシャツは汗で濡れるため、濃いグレーに変色しています。彼らが近くを通ると、高校の部室で嗅いだ汗の発酵したようなにおいが鼻の奥をツンと刺激して、青春の日々が蘇ってきます。

彼らは、とても早口で少しキーの高い声で喋ります。イントネーションにノルデステ(ブラジル北東部)特有の訛りがあり、話していることは半分も理解ができません。

このような気味の悪さも手伝って、いつしか、もう一人いる日本人の関根さん(仮名)との間で、彼らのことを「むくつけき団」と呼ぶようになったのです。

むくつけき団の食事

むくつけき団は、毎日12時15分頃に集団で会社の食堂に現れます。食堂では、大きめの平皿にセルフサービスで食料を盛って食べるスタイルをとっています。献立は、ごはん、フェイジョン豆、パスタ、サラダ、肉料理、ファリーニャなどで、肉料理の中身が日替わりですが、それ以外はたいてい同じメニューです。

ごはん、フェイジョン豆などは好きなだけ盛ってもいいのですが、お肉だけは食堂のおばちゃんによってコントロールされていて、取れる分量が決まっています。そうしないと、むくつけき団が人の何倍も肉を取ってしまい、全従業員に行き渡らなくなってしまうからです。

むくつけき団の皿は、常人の皿とは見た目が異なります。ぼくは、彼らの皿を差して、『山(montanha)』又は『ラーメン次郎インスパイア系』と呼んでいます。彼らの皿は一見すると冗談かと思うほどの大盛りなのです。彼らは、この山を上手に崩しながら食べていきます。
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彼らの『山』の作り方は、まずベースにフェイジョン豆を敷いて、その上に大量の白米を乗せ、最後に肉を頂点に乗せます。肉の量が制限されているので、大量の炭水化物(米)を摂取します。野菜類はあまり食べません。あの『山』が「むくつけき力」に変化して重たい荷物を運ぶ力になるのだと想像すると、なんだか微笑ましく思えてきます。

彼らが昼ごはんをドカ食いするのは、安く食べられる昼ごはんでなるべくエネルギーを蓄え、夕飯の食費を節約するためだという話を聞いたことがあります。一般的に、ブラジルでは昼ご飯を多めに食べて、夜は軽く済ませるという習慣があります。自分は、夕飯代を節約するために昼間なるべく多く胃袋に詰め込んでおこうという考えをしたことが無いので、それだけ幸せな境遇にあるのだということを実感したものです。

仕事上で「むくつけき団」と絡むことは滅多にないのですが、あるイベントの際には、「むくつけき団」の「むくつけき力」を借りなければなりません。これに関しては日を改めてご紹介します。