ブラジルの国民食「毒入りイモ」~マンジョッカとマカシェイラの違い~

ブラジルに足を踏み入れた人なら一度は口にする食べ物の一つに、マンジョッカ(mandioca)というものがあります。日本語では、キャッサバと呼ばれるものですが、食べたことが無い人にはピンと来ないかもしれません。
macaxeira

マンジョッカとは何か

2016-03-30_2030
(出典:Google)

マンジョッカは、ブラジル原産のトケイグサ科の植物で、サツマイモに似た太い塊根から、タピオカと呼ばれるデンプンを取ります。ブラジル人は、このタピオカをフライパンで焼いてクレープのようなモチモチした食べ物にして食べます。この料理は、単にタピオカ(Tapioca)と呼ばれたり、ベイジュー(Beijú)と呼ばれています。パンと違ってグルテンが入っていないので、アレルギーを気にする人がパンの代わりに食べるという話を聞いたことがあります。また、タピオカを発酵されたものはPubaと呼ばれ、ケーキにして食べられます。

ブラジルでは、マンジョッカの粉を炒めてつくるファロファを様々な料理にぶっかけて食べます。また、マンジョッカの粉と魚のエキスなどを混ぜてつくるゼリー状の物体(Pirãoピロンと呼ばれる)は、レストランなどでごはんの付け合せとして出されます。米やフェイジョンと一緒に口に掻き込むと口の中でうまみが広がります。こうして考えると、ブラジル人は一日に一回はマンジョッカを口にしているとも言えるでしょう。

マンジョッカとマカシェイラの違い

この根茎は、ブラジルでは様々な名前で呼ばれています。マカシェイラ(macaxeira)、 アイピン(aipim)など。ブラジル人でも、これらの違いについて区別ができていない人も居て、単に地域によって呼び名が違うと思っている人もいます。確かに、バイーアではアイピンと呼び、ペルナンブーコではマカシェイラと呼ばれています。

しかし、マンジョッカとマカシェイラには注意しなければならない重要な差異があります。それは、マンジョッカはそのまま食べた場合には体に毒だということです。マンジョッカは、シアン化合物という猛毒を含んでいます。人間の場合、0.06gを吸入すると即死するそうです。

実際に、サンパウロ州北東海岸部のアンシェッタ島に移民したブルガリア人は、マンジョッカの処理の方法を知らずに、100日間で151名もの人が死んだという悲劇もあったそうです。数々の悲劇の舞台、監獄島アンシェッタ

マンジョッカを食べるためには工場で適切な処理(加熱)をして毒抜きする必要があります。マカシェイラやアイピンの場合、シアン化合物がほとんど入っていないため、そのまま家庭で調理して食べても問題ありません。

スーパーなどで売っているのは、マンジョッカではなくマカシェイラ(又はアイピン)の方らしいです。マカシェイラをそのまま油であげた料理(Macaxeira Frita)は、カリカリの表面とモチモチの中身の食感がビールのつまみに良くあいます。マカシェイラを茹でてバターで和えた料理(Macaxeira cozida)もブラジル在住者には忘れられない味の一つです。

マカシェイラをカレーに入れてはいけない

余談ですが、ブラジルに来て間もない頃に、マカシェイラのウマさに目覚めたぼくは、マカシェイラをカレーに入れたらウマいに違いないという確信を抱き、早速試してみました。じゃがいもと同じ要領で料理したんですが、加熱するに従って恐るべき速さで溶けてしまい、最終的にカレーが固めるテンプルで固めた油みたいになってしまいました。カレーにマカシェイラを入れる場合には、食べる直前に茹でたものを入れたほうが良さそうです。

マンジョッカの名前の由来

マンジョッカはポルトガル人がブラジルを「発見」する遥か前から現地のインディオによって食されていました。マンジョッカの名前はインディオの言い伝えから来ています。

トゥピ族で白い肌を持ったマニ(Mani)という女の子が居ました。マニが行くところ、笑いが絶えず、マニは皆に愛されていました。

ある時、マニが重い病気にかかってしまいました。村の人々はマニの病気を治すために祈祷師を呼び、マニの病気を治すための儀式や祈りを行ったのですが、努力は報われずに女の子は死んでしまいました。

マニの両親はトゥピ族の風習に従い、マニの遺骸を自分の小屋(oca)に埋めることにしました。両親はマニの遺骸が埋められた場所で何度も泣きました。ある時、マニの墓から植物が生えてきました。根っこを見ると、外側が茶色で、中がマニのように真っ白でした。両親は、マニに因んでその植物をマニーヴァ(Maniva)と名付けることにしました。

インディオ達は、この植物を使って、ファリーニャ(粉)や飲み物を作るようになり、いつしかマンジョッカ(Mandioca)と呼ばれるようになったのです。Mani (死んだ女の子の名前) + oca (インディオの住居) ということですね。Lenda da Mandioca

マンジョッカとマカシェイラの違いは、ブラジル人でも知らない人がいるので、身近なブラジル人にクイズを出してみてはいかがでしょう。