他人の家で100%くつろぐブラジル人、影で愚痴を言う日本人

ブラジル人の家にお邪魔すると必ずといっていいほど、「自分の家にいるようにくつろいでいいからね。」と言われます。ここで言う「くつろいでいい」というのはブラジルの場合、言葉通りに理解して良いようです。

ブラジル人は本当にくつろぎます。

以前、自宅に友人を呼んだ時、友人は主人が勧めもしないのに、ソファにどかっと腰を下ろしてくつろぎ始めました。彼は、「のどが渇いたから」と言って水を所望してきました。また、友人を呼んだホストであるぼくが、台所でお茶を用意したり、食事の用意したりと忙しくしている間、友人はソファで雑誌やテレビを見てくつろいでいました。

「こいつ、本当にくつろいでるよなあ。」と思ったものです。彼が特別というわけではなく、ブラジル人は一般的に他人の家でもくつろぐのが得意なようです。ただし、ブラジル人がくつろいで手伝ってくれないからといって、別に腹が立ったりはしません。むしろ、ホストとしてはもてなすことに徹することができますし、めしを食わせれば「うまい」と言って喜んでくれるので、分かりやすくて良いです。

自分の家だと思って、くつろいで下さい。

先日、知人の家に昼食に招かれた時のことです。ゲストの数は20名を超えていたのですが、ホストは大人数の客を受け入れるのに慣れている方でした。ソファに座って、食事ができるのを待っている時、18歳の青年がたどたどしい英語で話しかけてきました。「自分の家だと思って、くつろいで行っていいからね!」

もしかしたら、この家の人かな?と思い、色々と話を聞くと、家の人ではなくて、近所に住んでいる青年であるということが分かりました。近所の人が、他人の家に上り込んで、「くつろいでください。」は無いだろう、と彼の顔を見ながらおかしさをかみ殺すのに必死でした。

他人の家に泊まることのハードルが低い

ちょっと話はそれますが、普通に日帰りするつもりで知人の家に行った時に、「今日、泊まっていかないの?」と聞かれたことが何度かあります。仲の良い知人から言われたこともあれば、会うのが2回目の人からも言われたことがあります。どうも、ブラジルでは他人の家に泊まることのハードルが低いようです。

日本人だったら、他人の家に泊めてもらう場合には、事前に泊まることを合意しておくことが一般的だと思います。そして、会ったばかりの人を家に泊めるということは通常しないでしょう。

閑話休題。

日本人は影で愚痴を言う?

日本でもお客さんが家に来たときは「遠慮せずゆっくりしてってくださいね。」と言われるかもしれないですが、ブラジル人のように遠慮せずゆっくりしていったら、「迷惑な人」というレッテルを貼られ、もう二度と呼んでもらえない可能性があります。

日本人は、お客さんもホストも、お互いに対して求め過ぎな人が多いのではないかと思います。例えば、お客さんからしたら、「お茶を出してくれなかった。」「出されためしがまずかった。」「椅子が堅かった。」などと言う文句が出るかもしれません。

一方で、ホストからしたら、「手土産の一つもない。」「長居されて困る。」「大勢で来られても食事の用意に困る。」などの不満が考えられます。

お客さんが居る間は、不満を心にしまってニコニコしているけれど、お客さんが帰ってから、家族や友人に愚痴を言って溜飲を下げるというのが日本人のよくあるパターンだと思います。

厳しい要求水準のある日本式と、あるものを楽しむブラジル式

日本人のおもてなしというのは「他人の家にお邪魔した時には、常識的に考えたらこう振る舞うべきだ」という採点表があって、採点表に従って、お客の行動を採点しているかのようです。文句を言うようなら、家に呼ばなければよいのにと思ってしまいますが、そうも言っていられないのが日本での人付き合いの難しいところでしょう。

この点、ブラジル人のおもてなしは、シンプルです。お客さんもホストも適当に肩の力が抜けていて、あるがままを受け入れます。シンプルな食事が出されたら喜んで食べますし、豪華な食事が出されたらやはり喜んで食べます。お土産をもらったら喜ぶし、お土産が無くても別に文句は言いません。多くを期待しないけれど、豪華なもてなしを受けたら、それをちゃんと喜びます。

個人的にはブラジル式の方が気が楽で好きですが、ぼくも日本人なので、誰かの家にお邪魔するときは極力日本の常識に従い、誰かを家に招く時の心構えはブラジル式で行きたいと考えています。