ブラジル産鶏肉は、成長ホルモンを投与しているか??

牛などの赤身肉と比べて健康的で、かつ、安価なためブラジルにおいても消費量の多い鶏肉ですが、ブラジル動物性たんぱく質協会(ABPA)の調べによると、72%ものブラジル人が、ブラジル産の鶏肉には成長ホルモンが投与されていると考えているようです。

ブラジルの鶏肉は成長ホルモンを投与されているか

2016-05-15_1247
ブロイラーの鶏肉は、成長を加速するため成長ホルモンを投与されているという話は良く言われることですが、実はこれは勘違いなのです。そもそも、鶏に成長ホルモンの入った飼料を与えることや注射で直接ホルモンを投与することは、ブラジルの農業省が禁止しています。

ブラジル農牧畜研究所(Embrapa)によると、ブラジルにおいては成長ホルモンの投与は禁止されている上に、畜産業者にとっても製品コストの大幅増加につながるのです。

ブラジルの行政は信じられないと思う人も居るかもしれないですが、ブラジルは鶏肉の輸出大国であり、例えばアメリカ、ヨーロッパ、日本など、法律順守の要求が厳しい国にも輸出しているため、鶏肉の管理に関しては信じてもよさそうです。

アメリカにおいては、魚や牛に対してガイドラインを適切に守った場合に成長ホルモンの投与が認められているケースがあるそうです。おそらく、鶏肉に成長ホルモンを投与しているという噂は、アメリカのケースから類推して発生したのではないでしょうか。

鶏の選別

それでは、ブロイラーの鶏が自然鶏よりも早く成長するのはなぜでしょうか。主な理由の一つは鶏の「品種改良」が進められたことにあります。長い期間にわたって、より大きく早く成長する品種が選別されて掛けあわされた結果、50年間で成長速度が2倍にもなったのです。

一方で、狭い場所で育てることにより、ニワトリがエネルギーを消費しなくなった結果、以前よりも脂肪分が増えたと指摘する専門家もいます。

2010年にアメリカ腫瘍学会が行った調査によると、北米、日本、ブラジル産の鶏肉に含まれるホルモン量は、日本が最も多く、ブラジル産鶏肉はホルモン量が少ないという結果がでました。

抗生物質の投与

成長ホルモンはその投与がブラジル農業省から禁止されている一方で、病気の予防のための抗生物質は農業省のガイドラインに従って投与することが認められています。ガイドラインによると、投与量と投与時期は厳格に定められており、人間の口に入るまでに全て消化されるようにコントロールされています。

問題は抗生物質への耐性と人間への影響

鶏が複数の抗生物質を摂取すると体内で耐性ができてしまい、抗生物質が効かずに病気に係る可能性が高まります。つまり、強い病原菌は抗生物質を投与しても生き残って繁殖してしまう危険があるのです。結果として、それが人間の健康に影響を及ぼす危険性が指摘されています。

衛生管理委員会(Anvisa)の調査によると、ブラジル産の2710羽の鶏肉サンプルを調査したところ、98%が腸球菌(病原性は弱く、通常であれば害はない)に汚染されており、3%がサルモネラ菌に汚染されていたことが分かりました。

結局ブラジル産鶏肉は食べても大丈夫なのか?

今のところ、ブラジル産の鶏肉は安心して食べても問題ないということになっています。ブラジル消費者保護センター (Idec)の調査によると、鶏肉の残留抗生物質の問題は起きる可能性がかなり低いという結果がでています。しかし、問題は行政による監査が十分ではないために、抗生物質の不適切な適用のケースを網羅的に発見することが困難であるということにあります。

消費者が予期せぬ抗生物質の摂取を避けるためには、トレーサビリティーのしっかりしたブランドの鶏肉を購入するか、オーガニック認証を受けた鶏肉を購入することが望ましいと言えますね。

オーガニック認証を受けた鶏肉

ここ数年で、ブラジル人のオーガニックへの需要は確実に高まっています。おそらく、日本市場よりもオーガニックへの需要が高いのではないかと思います。基本的に、ブラジル人は行政を信用することが薄いので、農家でどれだけ農薬を使っているのが分からないという不安が高いのだと思います。

最近では、ペトロリーナのような田舎町でもオーガニック認証を受けた鶏肉が販売されるようになりました。最近、家ではもっぱらコーリン社(Korin)の鶏肉を使っています。値段が高く、身も小さいですが、味は普通のより美味しい気がします。

コーリン社のサイトによると、同社の鶏は、動物由来の飼料、抗生物質を使用していません。また、飼育スペースは広めにとっており、孵化から25日後は自由に放牧させてより自然に近い育ち方をしています。

DSCN8704

ここからは、テーマとあまり関係ない余談です。コーリン社は、94年に設立されたサンパウロの会社なんですが、岡田茂吉の自然農法を踏襲しているとのことです。岡田茂吉って誰だろうと思って調べると、世界救世教、箱根美術館、MOA美術館などを創設した人で、自然農法の創始者でもあります。ブラジルにもモキチ・オカダ・ファンデーションなるものがあるみたいです。

参考サイト
鶏肉は成長ホルモンと抗生物質を投与されているのか?(ポルトガル語サイト)