労務大臣、グッド・ルッキング・ガイに囲まれ潔白を主張

テメル大統領により、労務大臣に任命されたクリスチアーニ・ブラジル連邦議員(PTB-労働者党)が、裁判所に大臣就任を差し止められた件について自身の潔白を訴えたビデオが、ブラジルのSNS上で炎上しています。

クリスチアーニ議員は、2018年1月3日に労務大臣に任命されていたのですが、彼女自身が法令違反をしていた疑いがあるという理由で、同月8日、裁判所から大臣就任を差し止められていました。

撮影されたビデオを見ると、まず目に飛び込んでくるのが、上半身裸の四人の男たちです。そのうち二人はサングラスをかけています。背景をみると、船の上で撮影したことが分かります。後ろからは軽快な音楽が聞こえてきます。このように、もはや、一世一代のギャグでしょ?としか思えないようなシチュエーションで、クリスチアーニ議員は自身の潔白を主張するのですが、もう笑い以外の感情は湧いてきません。議員を取り囲んでいるグッド・ルッキング・ガイ達は、議員の「友人」だそうです。

この動画は、クリスチアーニ議員曰く、彼女の友人の発案で撮影したとのこと。おそらく、グッド・ルッキング・ガイ達とクルージングをしている最中に、酒の酔いも手伝って「クリスの大臣就任を差し止めているなんて、ナンセンスだよ!今から動画を撮影して国民に訴えかければ、状況が変わるさ!」と誰かが提案し、スマホで撮影したのではないかと思います。

スキャンダルに寛容なブラジル人も、さすがにこの動画にはあきれ返っている様子。メディアでの炎上を受けて、さすがに、彼女が労務省大臣に就任する道は絶たれたのではないかと思います。

大臣就任が差し止められた理由

2018年1月、リオデジャネイロのコスタ裁判官は、クリスチアーニ議員が憲法違反を犯しているとして大臣就任を差し止めました。

クリスチアーニは、リオデジャネイロ市の市議会議員として政界入りし、2014年に連邦議員に選出されました。問題は、彼女がリオデジャネイロ市の市議会議員の時に発生しています。彼女は、任期中に叔母の所有するレンタカー会社に対して、議会の費用を不当に割り当てた容疑で起訴されています。

また、かつてリオデジャネイロ市に雇用されていたアリーニ・ルシア氏は、雇用期間中に労働法違反があったとしてクリスチアーニを訴えています。アリーニ・ルシア氏はリオ市に雇用されたにも関わらず、クリスチアーニ議員の車の運転や市の業務とは関係のない秘書としての業務をさせられていたと主張しています。

ブラジルでは、雇用主が従業員に命じられる業務範囲があらかじめ決まっています。職務と全く関係のない仕事をさせたり、会社と関係の無いことをさせたりすると、従業員が辞めた後に労働裁判で訴えられた場合、会社が負けます。また、労働裁判が発生するのは全然珍しくありません、

筆者の例ですが、会社が左官として雇っていた従業員に対して、筆者が賃貸マンションからの引っ越しの際に、ペンキ塗りや配管の工事などを業務時間内に従業員にやってもらったことがあります。彼が退職した時、彼は会社を労働裁判で訴えたのですが、訴状にはこのペンキ塗りなどの業務が、業務範囲の逸脱であると記載されていました。

グッド・ルッキング・ガイに囲まれた議員の主張とは?

四人のグッド・ルッキング・ガイに囲まれたクリスチアーニ議員は次のように主張しました。
「あなた方に誓っていいますが、私を訴えている者に対して、私は何らかの債務を負っているとは認識していません。事実はすぐに明らかになるでしょう」

「俺はあんたの味方さ、センセイ」
と横にいるグッド・ルッキング・ガイは、議員を応援します。
別のグッド・ルッキング・ガイ達も続けてコメントします。
「俺たちは知ってるぜ。実業家として、労働裁判ってのは日常茶飯事だからな」
「みんな(労働裁判の権利を)持ってるよね、俺も権利を持っているし、彼もそうだ。みんな持っている権利さ」

最後に、クリスチアーニ議員は、次のように締めました。
「あなた方は誰しもが、労働裁判を起こす権利を有しています。私が知りたいのは一つのことだけです。どのような人が労務関係の裁判で私(次期労務大臣)を訴えようなどという(馬鹿げた?)考えを抱くのだろうか、と」

余談ながら彼女の名前は、クリスチアーニ・ブラジル・フランシスコと言います。「ブラジル」というのは、あだ名ではなく本名だそうです。日本風に言えば、日本花子ですね。

こちらが問題の動画

炎上にもお国柄が出る

グッド・ルッキング・ガイに囲まれた未来の労務大臣の姿を見て、2016年に就任まもなく解任された可哀想な観光大臣(アレサンドロ・テイシェイラ)のことを思い出しました…。この観光大臣は、大臣就任の日に、自身の妻で、もとミス・ブンブン2013のミレーナ・サントスを大臣の執務室に招いて記念撮影をしました。

その写真は、雑誌「プレイボーイ」の表紙ですか?というような悩殺ショットで、これをSNSに投稿したミレーナ・サントスのコメントは以下の通りです。

偉大なる漢(おとこ)の隣には、魅力的で力強い女がいるものである
Ao lado de um grande homem existe sempre uma linda e poderosa mulher

ちなみに、SNSで炎上したあと、ミレーナ・サントスは写真を取り下げて、以下のようにコメントしています。

人々の倫理観と尊重の無さに怒りを禁じえません。愛し合っている夫婦の喜びの瞬間をネガティブにとらえるだなんて。
“Estou indignada com a falta de ética e respeito das pessoas. Pegam um momento de felicidade da vida de um casal que se ama, e estão felizes, e transformam em uma coisa negativa”, criticou.

日本の炎上と比べると、ブラジルの炎上はお国柄が出ていて面白いです。渦中の人が全く悪びれていないという点も、ブラジルらしいです。先日の小室哲哉氏の不倫疑惑報道を見ていて、日本の不寛容さを感じました。不倫は悪いことであると思いますが、家庭内の問題なので他人がごちゃごちゃ言う筋合いの問題ではない、と個人的には感じました。