カーニバルだけじゃない!ブラジルのフェスタ・ジュニーナの起源

ノルデスチ(ブラジル北東部)では、毎年6月になると各地で祭りが開催されます。この祭りのことを、6月の祭り(=フェスタ・ジュニーナ)と呼びます。日本ではカーニバルに比べると認知度は低いですが、地域によってはカーニバルと肩を並べるほどか、それ以上に重要視されているお祭りです。
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フェスタ・ジュニーナはブラジル中で祝われますが、特にノルデスチ(ブラジル北東部)及び内陸部で盛んにおこなわれており、サンパウロやリオデジャネイロ等の都市部ではこれらの地域のように盛大に祝われることはありません。(フェスタ・ジュニーナで最も有名な町は、ペルナンブーコ州のカルアルとパライーバ州のカンピーナ・グランジ)
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フェスタ・ジュニーナの起源

フェスタ・ジュニーナは中世ヨーロッパにその起源を有します。当時ヨーロッパでは、ケルト民族、エジプト人などが夏至(6月22日、23日。南半球のブラジルでは冬至に当たる)の時期に収穫の始まりを祝うお祭りを営んでいました。カトリックが現在ほど浸透していなかった当時、この祭りはユピテル神(Júpiter)の妻であるユーノー神(Juno)を奉り、ジュノニアス祭(junônias)と呼ばれていたそうです。ユーノー神は6月の名前の由来となっている神です。

カトリック教会は、この異教徒の風習をやめさせようとしたものの、叶わなかったのでキリスト教化しようと考えました。イースターと同じですね。つまり、ユーノー神の祭りではなく、カトリック教会の聖人に関連する祭りにしてしまおうとしたのです。

現在、6月は3人の聖人に敬意を表する記念日になっています。その3人の聖人とは、聖アントニオ(6月13日)、聖ヨハネ(6月24日)、聖ペドロ(6月29日)です。ジュノニアス祭(junônias)という名前も、聖ヨハネ(São João)にこじつけて、ジョアニーナス祭(joaninas)と呼ばれていた時期もあったようです。

ブラジルのフェスタ・ジュニーナ

フェスタ・ジュニーナはポルトガル人が植民時代にブラジルに持ち込みました。偶然にもブラジルのインディオも6月に豊穣を祝う祭りを行う習慣がありました。これがイエズス会が持ち込んだヨーロッパのジョアニーナス祭りと融合して、ブラジル独自のフェスタ・ジュニーナが生まれたのです。

フェスタ・ジュニーナでは、男女ともにわざと田舎者の格好をします。カラフルなチェックのシャツを着て、釣りキチ三平のような麦わら帽子を被ります。女の子の場合は、ほっぺたにソバカスを書いて田舎っぽさを出し、男の子の場合は口ひげを書きます。

伝統的なフェスタ・ジュニーナでは、たき火の周りをフォフォー(forró)とよばれるフォークダンスを踊って楽しみます。フォフォーで流れる音楽は、伝統的には3つの楽器で演奏されます(アコーディオン、トライアングル、大太鼓)。フォフォーの音楽はポルトガルのシューラ(Chula)に起源を有すると言われています。

会社の忘年会などで、フォフォーの音楽が流れると、どこからともなく男女のペアができはじめて、そこかしこで踊り始めます。彼らは子供の頃からフォフォーを聴いて育っているので、音楽が流れると自然と踊りだしてしまうようです。
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3人の聖人

6月13日は聖アントニオ(Santo Antônio)の日です。聖アントニオは結婚の聖人と呼ばれ、12世紀において女性の結婚を積極的に手助けしたことから、そのように呼ばれています。現代においても、恋人、夫が欲しい女性に愛される聖人とされています。

聖人の記念日の中でも、最も重要視されているのは、聖ヨハネ(São João)の日です。以下、ブラジル風に「サン・ジョアン」と呼びます。サン・ジョアンは、6月24日が記念日とされています。この日はノルデスチを中心としてブラジル各地で祭りが開催されます。聖ヨハネは、イエス・キリストの母である聖母マリアの従妹であるイザベルの息子です。ヨルダン川で多くの人々を洗礼したことから、「洗礼のヨハネ」とも呼ばれます。

6月の最後の聖人は聖ペドロ(São Pedro)です(6月29日)。聖ペドロは、イエス・キリスト12弟子のリーダー格の元漁師です。カトリック教会の礎を築いた人とされています。カトリック教会では、聖ペドロは「天の鍵」を持っていると考えています。そのため、セルトンと呼ばれるノルデスチの乾燥地域では、「聖ペドロに雨乞いをする」と言うことが良く言われます。雨が降ってほしい時には、聖ペドロにお願いしようと言えば、ちょっと気の利いた表現になります。

風船燈籠

かつては、フェスタ・ジュニーナの際に風船状の燈籠を飛ばす習慣があったそうです。燈籠は、お祭り期間の開始を伝えるとともに、天に居る聖人に人々の願いを届けるという意味があったそうです。ただし、現代においては、火事の危険があるため風船燈籠を飛ばすことは禁止されています。

たき火

フェスタ・ジュニーナと言えば、欠かせないものが「たき火」です。インディオの時代から、たき火は「悪い精霊を燃やす」意味があったそうです。カトリック教会は、前述した聖ヨハネの母、イザベルが聖母マリアにヨハネの誕生を遠くから伝達するためにたき火を焚いたと説明しています。

現代においては、火事の危険性があることから、たき火を焚く町は少なくなってきたと言われていますが、内陸部ではサン・ジョアンの日に家の前でたき火を焚いているのを今でも良く見かけます。

トウモロコシ

フェスタ・ジュニーナの時に欠かせない食事は、何と言っても蒸かしたトウモロコシです。その理由は、6月がちょうど収穫期に当たるからです。蒸かしトウモロコシの他にも、トウモロコシで作ったケーキや、ポップコーン、コーンクリーム等、フェスタ・ジュニーナでは様々な調理法の料理が食べられます。

ブラジルといえば、カーニバル、サンバ、ボサノバなどが有名ですが、フェスタ・ジュニーナやフォフォーはそれに負けず劣らない個性を放っています。

サン・ジョアンで有名なペルナンブーコ州カルアルの公式ビデオ