粉を摂取しなければ生きられないブラジル人の話

2016-03-05_1436
ブラジルの食事に欠かせないものと言えば、米とフェイジョン豆、マンジョッカ(キャッサバ)、それにファロファ(farofa)と呼ばれる粉です。このファロファという粉は、マンジョッカの粉をバターなどで炒めた粉で、粉だけの場合もあれば、ニンニク、サルサ、ベーコンなどが入っている場合もあります。ファロファは、単純にファリーニャ(farinha)、すなわち粉と呼ばれることもあります。

これが、ファロファの粉です。
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ファロファは、このようにめしの上にのせて食べます。
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これはファロファの原料、マンジョッカを蒸したもの。
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日本人にとってのファロファ

このファロファについて、開高健の文章によると、次のように説明されています。

これは、マンディオカという野生の灌木の根をすりおろして水にさらして乾燥させた粉である。栄養分としては澱粉だけ。味もなければ香りもない。口に入れるとただバサバサざらざらしている。アマゾン地方のは黄いろくて粒が粗大であるが、この黄はショウガでつけたのだという。”黄金のファリーニャ”と呼ぶ。しかし、だからといって、その味、その香りがあるわけではない。サンパウロ地方のは白くて粒がこまかいけれど、バサバサざらざらということでは変わらない。このインディオの食品が全ブラジル人に愛されていて、日本人の味の素、ヴェトナム人のニョクマムみたいに何にでもふりかけてまぶして食べる。そのあと水を飲むと腹がパンパンにふくれて、アフリカの子供みたいになる。トイレへいってみると、雲古が軽く水に浮いてふわふわ漂い、水をジャアーッとやってもくるくる回転するだけで、なかなか吸いこまれてくれない。ファリーニャというのは”粉”という意味だから、これこそまさにフン便というものか。

今更ですが、開高健『オーパ!』をむさぼり読んでしまいました。
以前、日本から来た方(仮に石田さんとしておきます)と一緒にベレンに行きました。昼飯の時に河の近くまで行ったので、河辺まで歩いて行ってみました。石田さんは、とろんとおしるこみたいに黄濁した水を手ですくって、ペロリと舐めてしまいました。それで、「極上中汲...

また、開高健の案内役の醍醐麻沙夫氏は、こうつないでいます。

「ファリーニャも食べ慣れるとそのうち味がでてきますよ。無味の味という禅の極意がでてきます」

3月1日に日経ビジネスで、海外事業で成功しているブラジル味の素に関する、非常に面白い記事が出ていました。味の素、「成功の呪縛」断ち世界トップ10へ速攻
その中で、ブラジル味の素社長の西井さんがこんなことを言っていました。

現地の流儀にならってブラジルの伝統料理にファロッファ(キャッサバ芋を乾燥させた粉)をかけて食べたが、無味無臭でおいしくない。周囲の日本人も同じ意見。しかし、なぜブラジル人はおいしいと感じるのか、誰もはっきりと説明できなかった。我々がやってきたことは、何かずれているんじゃないか。

そう、ブラジル料理を初めて食べる日本人にとって、ファロファは何のためにかけるのかよくわからないものなのです。ぼくも、初めて食べたときは妙にパサパサする粉だという印象しか受けませんでした。

ファロファを日常的に食べた日本人の感想

ぼくの働いている工場には食堂があるのですが、米、フェイジョン豆、ファロファという三点セットは必ず出てきます。醍醐麻沙夫氏が、ファリーニャも食べ慣れるとそのうち味がでてきますよ、と言っていますが、今ではこれは本当にその通りだったということを実感しています。日本のめしで例えるなら、味噌ラーメンにバターを入れるとうまくなるとか、牛丼に紅ショウガを乗せるといいとか、親子丼にキザミのりを乗せて食べると香りがよいと感じるのと似ています。

フォロファの味と食感は、慣れてくるとブラジル料理にはなくてはならないものに思われてきます。ファロファが無くても別に困らないのですが、ファロファがないと、どうも物足りなくなるのです。

ふりかけはご飯にかけて食べるものですが、ファロファは何にかけるという決まりが特にありません。お肉にかけてもいいし、パスタ、ご飯、サラダにかけてもうまいです。それだけではパサパサしていて食べられないので、水分のあるものと混ぜて食べるのがポイントです。ブラジル料理屋に行ったら、是非このファロファをあらゆるものにかけて食べてみてください。