ノルデスチの電力は51%が風力発電

世界最大の滝(イグアスの滝)と世界最大の河(アマゾン河)を擁するブラジルでは電力供給の61%を水力発電によって賄っています。従って、“ブラジル=水力発電大国”という考えは、ブラジル全体で見れば正しいのですが、東北伯に限って言えばこれは誤った認識です。今や東北伯の電力は実に51%が風力発電により賄われており、水力発電の割合は14%に過ぎません。

東北伯が牽引する風力発電

ブラジルの風力発電は近年目覚ましい成長を遂げています。2010年の発電量は0.9GWでしかなかったのが、2017年には12GW(13.8倍)、2020年までに17GW(18.6倍)に成長する見込みです。12GWというのは、ブラジル全体の発電能力の6.5%に相当し、15百万人の電力需要を賄うことができます。風力発電所の80%は東北伯(ノルデスチ)地域にあります。地理的に東北伯は他の地域に比べて大西洋からの風が安定的に吹く地域です。また、風向きが一定で突風が少ないという風力発電に適した条件を備えています。2017年12月時点で風力発電所は503拠点存在し、6,500機の発電機が稼働しています。風力発電所が最も多いのは、ナタールが州都のリオ・グランジ・ド・ノルチ(RN州)で、2位以下を大きく引き離しています。RN州に続くのは、いずれも東北伯のセアラ州、バイーア州です。

風力発電の成長は干ばつが要因?

風力発電が成長している背景には、2012年頃から東北伯を悩ませている干ばつが関係しています。長引く干ばつの影響で、東北伯を流れるサンフランシスコ河の水力発電所(ソブラジーニョダム、イタパリカダム)は推移が危機的な水準になっており、水力以外の発電方法の成長が急務となっていました。

気が付けば、東北伯は電力の51%を風力で発電するまでになっており、ラテンアメリカにおける風力発電のトップランナーになっていました。東北伯での風力発電の普及事例は欧州の学会などでも世界の関心を集めているそうです。「災いを転じて福となす」といいますが、干ばつは水力発電に代わる再生可能エネルギーへの投資促進という思わぬ成果を東北伯にもたらしたことになります。

風力発電の功罪

環境に良いイメージのある風力発電ですが、良いことばかりではありません。せっかくなので、風力発電の利点と欠点をご紹介しましょう。

利点

化石燃料などの資源が不要
温室効果ガスの排出が無く、廃棄物も出ない
風力発電所は、牧畜などの用途にも利用可能
発電コストが比較的低い
初期投資費用は半年ほどで回収が可能

欠点

風が止んでいる時には発電ができない
風車が景観を害する
プロペラの回転による騒音が発生するので、居住地から半径200m以内に建設できない
鳥が風車に巻き込まれて死亡する危険がある

ブラジルは電力の64%を水力発電で賄っている
ブラジルの有名な自然景勝といえば、イグアスの滝とアマゾン河がすぐに頭に浮かびます。 イグアスの滝(筆者撮影) どちらにも共通するのは、壮大な規模を湛えるその水量です。ブラジルはこの豊富な水資源を活用して国全体の電力需要の実に68%を水...