ブラジル焼肉、シュラスコはなぜ食べ放題なのか?

ブラジル人が愛して止まないものには、「カビの生えたビール」の他にも「シュラスコ(churrasco)」が外せません。あえて紹介するまでもないほど有名ですが、名前の由来や「ホジージオ」と呼ばれる食べ放題のしくみが、どうして誕生したのかについては、意外と知られていないのではないかと思います。

シュラスコの基本情報

シュラスコとは、80cmほどの大きな串に塩で味付けした肉塊を突き刺して、炭火で焼いたブラジル焼肉のことをいいます。シュラスコ専門店では、テーブルに座るとギャルソンが串に刺さった巨大な肉塊を持ってきて、40cmほどの鋭利なナイフにより、客の目の前で肉片を削ってくれます。いろいろな種類の肉が楽しめるのですが、のべつまくなしに肉を持ってくるので、会話そっちのけで食べるのに夢中になってしまいます。

シュラスコで一番人気の部位、ピッカーニャ(picanha)
日本語では「イチボ」と呼ばれる牛のお尻の先の肉

もともとは、シュラスコといえば牛肉を焼いたものだったのですが、現代においては、鶏肉、豚肉、魚介類もシュラスコの材料に加わっています。さらに、シュラスコ専門店では、サラダや寿司、豆やごはんの食べ放題を提供していることが一般的です。日本でも「バルバッコア」「トゥッカーノ」などの専門店でシュラスコを味わうことができます。
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一家に一台、シュハスケイラ

ブラジルのアパートの共用スペースには、必ずといっていいほど肉塊を焼くためのシュハスケイラ(churrasqueira)と呼ばれるものが備え付けられています。ブラジル人は週末に友人たちを招いてシュラスコ・パーティーを開催するのが大好きです。また、家庭に一台シュハスケイラを設置していることも珍しくありません。日本人の感覚で言えば、家にホットプレート、ないしカセットコンロがあるのと同じような感覚です。シュハスケイラで使用する炭もスーパーなどで手軽に購入することができます。

手作りシュハスケイラ

スーパーで売られるシュラスコの串

シュラスコ用の炭

シュラスコの語源は火炎?

シュラスコ(churrasco)の語源は諸説ありますが、ひとつにはバスク語(スペインとフランスにまたがるバスク地方の言葉)の「Sukarra」から来ているとする説があります。Suには火、karraには炎という意味があります。

ブラジルにおけるシュラスコの歴史

ブラジルにおいては、17世紀にシュラスコの歴史がはじまったと言われています。当時、荷馬車の隊列を組んで様々な商品がブラジル南部に運ばれていました。その内に、商人が荷を運ぶ家畜を火であぶって食べるようになったのがシュラスコの始まりでした。ブラジル南部の州、リオ・グランジ・ド・スウ(Rio grande do sul)の人々を差して、ガウーショ(gaúcho)と呼びますが、ガウーショの商人の間でシュラスコの習慣が広まっていきました。

どうして食べ放題なのか

シュラスコと言えば、ギャルソンが色々な部位の肉塊をのべつまくなしに客のテーブルに持ってくるスタイルが有名です。ブラジルでは、このスタイルのことを「ホジージオ(rodízio)」と呼びます。ホーダ(roda)という単語は「車輪」という意味で、車輪が回転するように、入れ替わり立ち代わりする状態に由来して、このように呼ばれるようになったと考えられます。

「ホジージオ」の歴史はわりに新しくて、60年代半ばと言われています。リオ・グランジ・ド・スウ州のシュラスコ専門店、アルビーノ・オンガラット(Albino Ongaratto)で誕生しています。ある日、まだ経験の浅いギャルソンが忙しさでパニックを起こし、客の注文をゴチャマゼにしてしまいました。注文したものと異なる食事が出された客からは、クレームが噴出しました。事態を収拾するため、オーナーのオンガラット氏は「定額でいいから、どれでも好きな部位を食べてください」という提案をしました。オンガラット氏の提案は、客から大変喜ばれるところとなりました。今ではブラジル中のシュラスコ専門店で、「ホジージオ」のスタイルが導入されるようになっています。