ブラジルで最もうまいジェラートはどこに?

2014年にブラジルの大手ポータルサイトUOLが「ブラジルの美味しいジェラートランキング」を調査・公表しています。このランキングで1位に輝いたのは、ブラジル北部のベレンにあるジェラート屋、CAIRU(カイルー)でした。

https://comidasebebidas.uol.com.br/noticias/redacao/2014/09/23/sorveteria-de-belem-e-eleita-a-melhor-do-pais-por-internautas-veja-ranking.htm

ブラジルで最も美味しいジェラート屋、カイルー

CAIRU(カイルー)は、ベレン市内では14店舗展開し、リオデジャネイロに工場を有しています。

カイルーの歴史

いまから50年以上前の1963年にアーマンド・ライウンさん(Armando Laiun)がBAR CAIRUと言う名前の居酒屋(boteco)を購入したのが事業の始まりでした。ジェラート屋に転向したのは、アーマンドさんの妻ルツさん(Dona Ruth)に促されてアイスキャンデーを売り始めたのがきっかけでした。アイスキャンデー事業は予想以上に成功し、いつからか酒類を販売するのをやめて、ジェラート販売に注力するようになりました。

現在ではアマゾンのフルーツ(アサイー、クプアスー、バクリー、タペレバー)等を使用したジェラート50種類以上を提供する有名なジェラート屋に成長しています。観光客にとって最も足を運びやすいのが、エスタサン・ダス・ドッカス(Estação das Docas)内にある店舗です。2015年にはリオデジャネイロ店もオープンし、ベレン以外でも味わうことができるようになりました。

アサイーとタピオカのミックス、メスチッソ(左)

名前の由来

CAIRU(カイルー)と言う名前は、先住民の言語であるトゥピ語で「くすんだ葉っぱの樹(Árvore de Folhas Escuras)」を意味するのですが、なぜその名前が付いたのかは実は経営者にも謎なのです。というのも経営者のアーマンドさんが居酒屋を購入した時から、その名前が付いていたからです。ブラジル独立の時代に経済面で国に貢献したカイルー子爵(Visconde de Cairu)と呼ばれる男爵が居ますが、彼に由来しているのかもしれません。サルバドールには、彼の名を冠した「カイルー子爵大学(Fundação Visconde de Cairu)」があります。

一見まずそうなジェラート屋、アイス・ボージ

カイルーほど有名ではないですが、ベレン市内にはもう一つ強烈な個性を持ったジェラート屋があります。その名も、アイス・ボージ(IceBode)という店です。

ボージとは何か


ブラジル北東部のセルトン(半乾燥地帯)から来た筆者にとって、ボージ(Bode)には特別な思い入れがあります。ボージとは雄ヤギのことで、厳しい環境でも生きることができるので、セルトンに多く生息しています。筆者の住むペルナンブーコ州ペトロリーナ市には、焼肉ならぬヤギ肉を出すレストランがいくつも集まった「ボドードロモ(Bodódromo)」と呼ばれる広場があります。ついでながら、ドロモ(dromo)というのは、ギリシャ語で「広場」を意味する単語で、ブラジルで最も有名なドロモには、リオのカーニバルが行われるステージ(サンボードロモ)があります。

アイス・ボージの看板

閑話休題、この話のテーマであるアイス・ボージに話を戻します。アイス・ボージのロゴマークには水色のボージがジェラートを舐めている絵が使用されています。ブランド名を直訳すると、「冷たい雄ヤギ」となり、一見まずそうなイメージが湧いてしまいます。

高田馬場に「熊ぼっこ」というラーメン屋があったのですが、この店の看板には次のように書いてありました。


「熊ぼっこは高田馬場で一番まずい店」
アイス・ボージも、一見まずそうなイメージを消費者に与えて、関心を誘おうとしているのかと思い、気になって調べて見ました。

アイス・ボージの歴史

ジョージ・エスペジット・パイヴァ・デ・オリベイラ(Jorge Expedito Paiva de Oliveira)氏がベレンで創業したアイスクリーム工場がアイス・ボージの起源です。息子のジョゼ・アニージオ(José Anísio)が店で軽食やアイスクリームを提供するようになって、次第に人気が高まってきました。現在ではベレン市内に5店舗を有するほか、パラ州内に3店舗、他にも州外に4店舗(マカパー、ナタウ、ジョンペッソーア、レシフェ)を有するまでに成長を遂げています。

なぜアイス・ボージ?

アイス・ボージという奇妙な名前の由来が気になるのは筆者だけではないようです。アイス・ボージのサイトによると、同社が創業した時に、アイスクリーム業界は競争が激しかったことから、創業者は独創的で覚えやすい名前を付けようと考えたのです。

なぜボージなのかという点に関しては、創業者のジョージさんのあだ名が「ボージ」だったことに由来しています。ジョージさんの狙いは成功し、アイス・ボージは多くの人々の注目を集めて州外に店舗展開するまで成長してきました。

白水社の辞書で調べると、「bode」には「非常に醜い男」「好色な男」といった意味があったのですが、なぜジョージさんが「ボージ」と呼ばれていたのかは本人に聞いてみないと分かりません。単に、顔がヤギに似ていただけかもしれません。