ブラジル北東部に住むヒラタイ・アタマ族

勤務先の会社はアグロインダストリーに従事しているのですが、毎年社名入りの帽子を製作して契約農家に配っています。昨年は、ベージュとグリーンでブラジルらしい色の帽子に仕上がったのですが、発注業者を変更したことが祟って、サイズが小さめになってしまいました。そのため、頭が大きめの人は被りづらいサイズになってしまいました。

今年は、サイズを昨年よりも大きくしてもらいました。マネージャー達が集まる会議の席で、新しくできた帽子を披露すると、皆の視線は何故かモウラ氏の顔に集まり、モウラ氏に被れと言わんばかりです。

皆の期待を受けて、モウラ氏は次のように言いながら、苦笑いして被りました。「これって、差別だからね!(Isso é discriminação, viu?)」そして、帽子を被ったモウラ氏が「う~ん、まだ僕の頭には合わないね。」と言うと、皆の爆笑を誘っていました。

セアラ州の人々は頭が平たくて大きい?

なぜだかわかりませんが、セアラ州出身の人々は頭が平たくて(Cabeça chata)大きい(Cabeça grande)という定説があります。モウラ氏がセアラ州出身のセアレンシだということを皆知っていたので、新作の帽子が出来上がった際に、彼が被れるようであれば大丈夫という意味で彼のことを見たのでしょう。

コカコーラの缶が頭に乗る

以前、ブラジル人の大学生たちの集まりに顔を出した時に、セアラ州出身の女学生が友人たちにからかわれていました。ある男子学生が「セアレンシは頭が平たいというけど、この子は本当に平たいね。どれだけ平たいのか試してみよう。」と持ちかけ、確かコカコーラの缶だったかと思いますが、それを一人ずつ頭に乗せるゲームをしたんです。
すると、男子学生の思惑通り、他の人々の頭では不安定で直ぐに転がってしまったコカコーラの缶が、セアレンシの女学生の頭ではピタッと安定したのです。それを見た皆は仮説が実証されて大喜びでした。
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(図はイメージです。)

ちなみに、セアラ州は地図で見ると、以下の場所にあります。

州とはフォルタレーザ市です。

なぜセアラ州の人々は頭が平たいのか?

なぜ「セアラ州の人々の頭は平たい」と言われるようになったのかという疑問に関しては、色々な情報がありましたが、明確な答えは分かりませんでした。このように言われるようになった背景には(1)環境(2)差別との2つの側面があるようです。

(1)環境

セアラ州の属するノルデスチ(ブラジル北東部)は比較的低所得者層が多い地域であり、歴史的に十分な栄養が行きわたらなかったために頭の成育に変化を来したとする説がひとつ、南部に比べて年中暑い気候が続くので頭が膨張したのだとする説がひとつ、赤ん坊の時にハンモックに寝かされることが多く、寝返りの打ちにくい状態が頭の形成に影響を及ぼしたのだとする説がひとつあります。

(2)差別

セアラ州の属するノルデスチ(ブラジル北東部)は、大経済圏のサンパウロやリオデジャネイロのあるスデスチ(ブラジル南東部)と比べると、気候が厳しく、低所得層の人が多いエリアでもあります。

また、スデスチの人々の方は、自分たちがより勤勉でブラジル経済を牽引しているという自負があるので、ブラジルの発展の重荷になっているのは、怠け者のノルデスチの人々だと考え、ノルデスチの人々のことを一段低く見る傾向のある人も居ます。このような侮蔑的な感情が手伝ってセアラ州ひいてはノルデスチの人々を呼ぶときに、「ヒラタイ・アタマ族(Cabeça chata)」というあだ名で呼ぶようになったのではないかと指摘する意見もあります。