ブラジルの工場には遊び人・喧嘩屋の設置が必須?

ポルトガル語では語尾に「~イスタ」を付けると「~をする人」を示す名詞にすることができます。例えば、モトー(motor)イスタを合わせると「モトリスタ(motorista)=運転手」という意味に変化します。

ブラジルには、ブリガディスタ(brigadista)という役職があります。ブリガデイロとは関係ないですが、ちょっと名前が似ています。

ポルトガル語の語彙力がまだ低かった頃、ある工場で制服を着たブラジル人の背中に「ブリガディスタ」と書いてあるのを見つけました。最初は脳裏に「ブリンカー(brincar)=遊ぶ」という動詞が浮かびました。ブリガディスタをはじめて見た時は、背中に「遊び人」と書いてあるのかと思ってしまいました。

しかし、綴りをよく見ると「ブリガー(brigar)=戦う」という単語に「イスタ」を付けたものである事が分かりました。この場合の意味は「喧嘩屋、剣闘士」あたりでしょうか。しかし、なぜ工場内に「喧嘩屋、剣闘士」が居るのでしょうか。喧嘩を売ったら喜んで買ってくれるのか、と疑問に思いブラジル人の同僚に質問したところ、次のような回答が返ってきました。

「ブリガディスタは、工場内で火災が発生した時に消火設備を扱えるよう訓練を受けた従業員で、他の従業員の避難指示などをする人だよ」

ブラジルでは企業内で消火活動のトレーニングを受けたチームのことをブリガーダ・デ・インセンジオ(Brigada de incêndio)とよびます。そして、ブリガーダのメンバーのことをブリガディスタと呼ぶのです。

ブリガディスタが「戦う人」で、インセンジオ(incêndio)は「火災」という意味なので、ブリガディスタは、「ファイアー・ファイター」という英語と同じような意味で命名されたのだと思います。つまり、火災と戦う人ですね。「遊び人」でも「喧嘩屋」でもありませんでした。

余談ながら、「イスト」同様に、ポルトガル語の名詞の語尾に「エイロ」を付けると役職名になることがあります。

ブラジルでは消防士のことをボンベイロ(bombeiro)と呼びます。元になる単語「ボンバ(bomba)」は爆弾、ポンプという意味なので、ボンベイロと言われると「爆弾屋」というのが筆者の脳裏をよぎってしまう時期がかつてありました。