ブラジルの薬局に体重計がある理由

ブラジルの薬局には、目立つところに大きな体重計が設置してあります。
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ブラジルの薬局にある体重計

誰が、薬局なんかで体重を測るのだろうと思って、しばらく見ていると、わりとひっきりなしに体重を測っていく人がいます。年頃の女の子が体重を測っている横で、友人の男の子が片足を乗せて体重を重たくするといったイタズラをして、それに気が付いた女の子が男の子とじゃれあうという平和な光景も目にしました。

薬局と体重計

体重計が家庭に普及する以前から、ブラジルの薬局では店頭に体重計を設置して、顧客の健康管理に役立ててきた歴史があります。現代においても、家庭用の体重計は耐久性が悪く、すぐに故障してしまうという問題があること等を理由に、薬局の店頭で体重を測るという習慣が残っています。

体重計の設置には手数料が発生している

しかし、近年では体重計を設置しない、または有料にする薬局も増えてきています。その理由は、州の管轄機関である度量衡協会(Inmetro/Ipem)による“馬鹿げた”手数料の請求が負担になっているというのが理由でした。薬局が体重計を設置するには、協会に手数料を支払い、協会のシールを貼付する必要があったのです。体重計の設置は、薬局側の“好意”であるにも関わらず、その提供に費用が掛かるというのが薬局のオーナーからすれば馬鹿らしく思えるので、それならば撤去してしまおうという流れになったのです。

政府は体重計の設置を義務化

2010年11月、リオデジャネイロ州は法3347号において、薬局が見える場所に体重計を設置することを義務付け、遵守しない企業には罰金を課すこととしています。

義務化の根拠

法3347号の原文を読むと、法制定の根拠が説明されています。その概要を日本語で紹介します。

リオデジャネイロ州の薬局では、古くから薬局、薬品店において、顧客の健康管理のため、無料で体重を測れるように体重計を設置する習慣があったが、近年では有料化するか、体重計を撤去する店舗が増えている。

保健省によると、ブラジル人の肥満は近年著しく増加しており、ブラジル全土の5.4万人の者へのアンケートを実施したところ、男性は51%、女性は42%の者が適正体重を超えているとの結果が出た。特に都市部での肥満者が増加している。

そんなことまで政府が口出しするの?

体重計があることは、店の売上増加に必ずしも貢献しないため、政府の決定に対して不満を抱く薬局オーナーも多くいます。そもそも、ブラジル人の肥満管理をなぜ、”民間企業”である薬局が負担しなければならないのかという疑問が沸いてきます。こんな細かいことにまで政府が口出しして、罰金制度を導入するからブラジルの競争力が失われていくのだと思います。

最高裁は度量衡協会の手数料徴収を不当であると判断

先述した通り、薬局が体重計を設置すると、度量衡協会(Inmetro/Ipem)に対して手数料を支払わなければならないという制度となっていましたが、2015年に最高裁はこの手数料徴収が不当であるという判決を下しています。体重計の設置と売上に関連性が無いというのが判決の主な根拠でした。

ペルーの体重測り屋

話は変わりますが、2014年にペルーのクスコに行きました。街の中心にあるアルマス広場は、そこだけ切り取ったなら、ヨーロッパのどこかの町と引けを取らない美しさですが、一歩路地裏に入れば、そこではペルー人達の日常を見ることができました。

クスコの町では、道端でミニ商売をしている人が居ましたが、中でも秀逸なのが体重測り屋です。この商売、インドでも見たことがあるのですが、まさか遠いペルーでも見かけられるとは思ってもみませんでした。

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さっそく、測ってみたところ体重計は65kgと表示しました。少年は、わざわざ「65キロだよ!」と教えてくれました。見ればわかるけどね。料金は、30セント(約10円)。

こんな商売成り立つのかしらと遠巻きにして観察していたら、道行く男性が体重を測って行きました。
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