ブラジル航空業界の規制、改悪!預け荷物が有料に


ブラジル民間航空局 (ANAC-Agência Nacional de Aviação Civil)は、12月13日に行われた会議で航空関連の規制の改正案を承認しました。決定内容は14日に公告され、2017年3月14日から適用されます。本決定は改悪であるとして、PROCON(消費者保護局)は本件が承認された場合には起訴する意向を表明していました。

預け荷物の有料化と航空券の料金引き下げ

それでは、今回の規制のどこが改悪になったのか見てみましょう。

最も影響が大きいと思われるのは、預け荷物の有料化です。従来、ブラジル国内線は23キロの荷物1つ、国際線は32キロの荷物2つまで、無料で預けることができました。実際は、航空会社が荷物を預かり、これを輸送するコストは航空券のコストに含まれており、最終的には乗客が負担しているので厳密には「無料」ではありません。

機内持ち込み荷物だけで旅行する人の割合が35%ほどいるという調査結果があり、彼らが預け荷物のコストを負担するのは不公平であるという考え方がありました。そこで、預け荷物を有料にする代わりに航空券を安くすることで、この不公平を解消できるとANACは考えました。ibisホテルでは朝食をオプションにして、宿泊料金を下げることで、朝食を食べない人に配慮していますが、それと同じ考えですね。

しかし、問題は肝心の航空券をいくら下げなければならないのかという点に関して具体的な指針がないため、片手落ちに終わりそうだという点です。荷物1つ当たり、どれだけの手数料を取るのかという判断は各航空会社に委ねられているので、これまで通り預け荷物は無料とする航空会社もあるかもしれません。

見えないコストの方が怖い?

気になるのは、荷物への課金方法です。荷物1つ当たり一律料金であれば分かりやすいですが、従量課金とした場合は最悪のケースが想定されます。従量課金とした場合、空港のカウンターで荷物の重さを量り、料金を計算し、追加で支払うという手間が発生してしまいます。ただでさえ効率の悪いブラジルの空港カウンター業務が、荷物への課金業務が増えることで、空港での無駄な待ち時間が増えそうです。

また、規制の改正を知らない乗客が、カウンターで預け荷物に課金されることを初めて知り、カウンターでごね始めて、渋滞を引き起こすという事態も想定されます。

機内持ち込み荷物の重量は2倍になったが意味なし

預け荷物が有料になった見返りなのか、機内持ち込み荷物の重量上限は、「5キロまで」から「最低10キロ」に増えています。しかし、これはあまり意味が無いのではないかと思います。もともと機内持ち込み荷物はチェックインの際に重量を量ることがなかったため、5キロまでという規制は形骸化していました。機内の荷物を入れるスペースは限られているので、5キロから10キロになっても消費者にとっては、あまり恩恵はありません。むしろ、預け荷物が有料化されることで、機内の荷物棚の争奪戦が発生することが予想されます。

その他の改正点

他にも色々と規則の改正がなされています。預け荷物の有料化に比べると、あまり影響はなさそうです。

  • 現在、航空券購入後の変更には手数料がかかりますが、購入後24時間以内かつ7日前であれば無料でキャンセルできるようになりました。
  • 広告に使用する価格には、航空券の価格のみではなく手数料も含めた総額で表示することが義務付けられました。
  • ウェブ購入の際に、保険などのオプションをあらかじめ選択した状態にしておくことが禁じられました。
  • 乗客の名前の変更はチェックインまで無料でできるようになりました。
  • 時間の変更に関してはルールがありませんでしたが、今後は国内線で30分以上の変更がある場合には、別の便に振りかえ又は返金することを明確にしました。
  • 従来、往路を利用しなかった場合には、自動的に復路もキャンセルされていましたが、これを禁じました。
  • 返金がある場合の返金期間は30日以内と定められていましたが、この期間を7日以内に短縮することになりました。
  • 従来、罰金が発生する場合に航空券の価格を超える場合もありましたが、改正により罰金は航空券の価格を上限とすることが義務付けられました。
  • オーバーブッキング等があった場合の対応は、航空会社が乗客と交渉することを認めていましたが、今後は即刻返金義務が発生することとなりました。