なぜブラジルは徴兵制なのに兵役免除されるのか


ブラジルは、徴兵制(alistamento militar)を採用しており、全てのブラジル男性は、18歳の誕生日を迎える年に兵役登録し、1年間の兵役を行う義務があります。兵役登録をしなければ、パスポートを取得することができない、公務員に応募できない、大学などの教育機関に入学できないといった重いペナルティーがあります。

しかし、そのわりには知り合いのブラジル人男性で兵役を行った人はそれほど多くありません。どういうことなのか気になったので調べて見ました。

ブラジル徴兵制のしくみ


ブラジル人男性は、18歳を迎える年の1月から6月までの間に最寄りの兵役管理委員会(Junta de Serviço Militar)に出向き、兵役登録をしなければなりません。この期間に外国に滞在している場合には、在外大使館で手続きを済ませ、ブラジルに戻ったら速やかに兵役登録する必要があります。

登録後、日を改めて選抜試験が実施され、身体的、精神的、道徳的に軍隊への入隊が適切であるかどうかという審査が実施されます。

兵役が免除される場合

以下のいずれかに該当するブラジル男性は、兵役が免除されます。

  1. 身体障害を負う者
  2. 扶養家族が居る者
  3. 宗教的な信条がある者:「エホバの証人」に加入する者は、兵役拒否の信条を有することから、兵役が免除される。
  4. 道徳的に問題が有る者(重大な犯罪行為を犯した者など)

公的には上記の通りですが、実際に兵役免除されたという周囲のブラジル人5~6名に、免除された理由を質問してみました。その理由は以下の通りでした。

  • 身長が低かったから
  • ちくのう症だから
  • 視力が悪くて、メガネをしなければならないから
  • 大学に行きたかったから

ん?

身長が低いのはともかく、近視とか、大学に行きたいという理由で兵役が免除されるというのは腑に落ちません。納得のいかない顔をする筆者にブラジル人は教えてくれました。

「軍隊に入りたがっている人があまりにも多いから、ちょっとした理由で兵役を免除されるんだよ。」

軍隊に入ると給料が支給され、食事や住居も提供されます。そのため、貧困家庭出身の若者の中には、就職先として軍隊に入りたがる人が多いのです。特に不景気の時には就職希望者が増えるそうです。

ブラジル政府の公表データによると、毎年2百万人近い若者が兵役登録をしていますが、そのうち軍隊に入れたのは1割で20万人程度となっていました。

つまり、ブラジルの徴兵制度は、兵役登録が全員に義務づけられていますが、実際に軍隊に入るのは全体の1割程度で、容易に免除してもらうことができるのが実態だということができます。

兵役免除された場合

上記の免除事項に該当するか、審査をして選抜されなかった者は、ブラジル軍管理委員会で行われる宣誓式に出席します。ここで、祖国への忠誠を誓うとともに、兵役免除証明書を受け取ります。愛国宣言式(cerimônia Juramento de Fidelidade à Pátria)とよばれるこのセレモニーは、ブラジル国旗に向かって右手を挙げて宣誓を行うことから、国旗宣言式(Juramento à Bandeira)ともよばれます。