ポルトガル語でドイツが「アレマーニャ」と呼ばれる理由

2016-08-22_2020
ドイツは、英語では「ジャーマニー(Germany)」、本国ドイツでは「ドイチュラント(Deutschland)」と呼ばれています。英語とドイツ語の名称が似ても似つかないのですが、さらにブラジルに来て混乱が増しました。ポルトガル語で、ドイツは「アレマーニャ(Alemanha)」、ドイツ人は「アレマン(Alemão)」と呼ばれています。3つとも似ても似つかないので、語源が異なりそうです。ちなみに、ラテン語系の仲間であるフランス語ではAllemagne、スペイン語ではAlemaniaと呼ばれているのですが、イタリア語ではGermaniaと呼ばれている点も不思議です。

アレマーニャは、アレマン族の土地と言う意味

「アレマーニャ(Alemanha)」という単語は、ラテン語の「アラマニア(Alamannia)」という単語に由来しています。英語風にすると、アレマン・ランドと言う意味で、アレマン族の土地という意味があります。この場合、アレマン族とは何ぞやという疑問が湧いてきますが、ゲルマン人の一派としてアレマン族というのが存在したようです。

ドイツ語、オランダ語、英語、スカンジナビア諸国の言語の起源とされるゲルマン祖語という言語があります。前述のラテン語「アラマニア(Alamannia)」は、ゲルマン祖語の「Alamanniz」に由来しています。この単語の意味は解釈が分かれており、ひとつには多様な種族の集合体としての「アル・マネン(all mannen)=all human」と言う意味に由来すると解釈する考え方、他には、異国人を意味するラテン語の「アリエン(alien)」に由来すると解釈する考え方があります。

まとめると、「アレマーニャ」という単語の語源は、ゲルマン祖語にあり、ゲルマン人の一派である「アレマン族」の土地という意味があるということです。

ジャーマン、ゲルマニアの起源

古代ローマ人はゲルマン人が住む土地を示す際にアラマニアの他に、ゲルマニア(Germania)という表現も使用していました。ゲルマニアとは、古代ローマ人がゲルマン人の居住地につけた呼称で、ドナウ川の北、ライン川以東からウィスラ川までの、ローマ人に征服されていないゲルマン人居住地を差します。ユリウス・カエサルは、ガリアの北東部(現在のフランスとドイツ国境の辺り)に住む民族集団を差して、ゲルマヌス(germanus)という呼び名を使用した初めての人物でした。

ピンク色の部分が古代ローマ帝国の領土、緑色の部分がゲルマニア
Imperium_Romanum_Germania
Wikipedia(D. Bachmann)より引用

イタリア語で、ドイツのことを「ゲルマニア」と呼ぶのは、古代ローマの名残りでしょう。また、英語の「ジャーマニー(Germany)」も綴りを見ると起源が同じであることが分かります。つまり、「ジャーマン」又は「ゲルマニア」という呼称は、ゲルマン人と対立していた古代ローマ人側から見た場合の呼び方であるという事ができます。

ドイチュラントの語源

ドイツ語のドイチュ(Deutsch)は、ゲルマン語の「theudo」という単語が語源であり、これには「民衆、大衆(people, folk)」という意味があります。ゲルマン人の公用語がラテン語であった時代に、ゲルマン語を話す人々のことを「theudo」と呼んだことに由来しています。この起源によれば「ドイツ連邦共和国」は、「民衆連邦共和国」という意味になると言えます。

アレマーニャの由来を調べていたら、長すぎて途中で断念してしまった「ローマ人の物語」をもう一度読んでみる気になりました。

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