アディオスは臨終の言葉だった?

アディオス(Adiós)は、スペイン語で別れの挨拶です。有名な単語なので、スペイン語を習ったことが無くても知っている人は多いと思います。ポルトガル語では、アデウス(Adeus)と言います。発音が似ているので覚えやすいですね。

ブラジル人の知り合いに聞いたところ、アデウスはもう再会することが無さそうな時に使うそうです。例えば、会社を辞める同僚や別れた恋人などへの別れの言葉として使用するケースが考えられます。

このように、アディオスやアデウスは「ちょっと重たい別れの挨拶」という認識で何気なく覚えていました。その由来を調べると、実は「この世と決別する時だけに使う言葉」だったという事が分かりました。筆者はブラジル在住なので、以降はポルトガル語の「アデウス」をベースに言葉の由来を紹介します。

デウスは神

NHKの大河ドラマには、しばしば切支丹(キリシタン)になった日本人が登場します。彼らのセリフの中には、しばしば「デウス」という単語がでてきます。デウス(Deus)は、ポルトガル語でのこと。ポルトガルによってキリスト教が日本に伝えられた時に、一神教の神の概念を表す単語として「デウス」というポルトガル語がそのまま日本人によって使われるようになりました。

余談ながら、「ビックリマン」に登場する「スーパーゼウス」のゼウスは、ポルトガル語の「デウス」と同じだと思っていたのですが、ゼウス(Zeus)はギリシャ神話の最高神なので、デウスとは違うようです。

「アデウス」は「神の方へ」

アデウス(Adeus)を、ア・デウス(a Deus)と分解してみましょう。ポルトガル語で“a”は方向を示す前置詞ですので、ア・デウス(a Deus)というのは「神の方へ」という意味になります。

第266代ローマ教皇のパパ・フランシスコは、「アデウス」は日常的に使う別れの挨拶ではないと信者に向けた講和で説明しています。彼の話を引用します。

papa francisco

使徒パウロとイエスは世を去る時、弟子たちの行く末を神に託しました。神はこの世のものではありませんが、それでも神に彼らの行く末を託したのです。つまり、神を信頼するということこそが「アデウス」の本当の意味なのです。我々は最も重要な別れ、すなわち人生の別れの際に限って「アデウス」と言いましょう。
Paulo confia a Deus os seus companheiros e Jesus confia ao Pai os seus discípulos, que permanecem no mundo. ‘Eles não são do mundo, mas cuida deles’. Confiar ao Pai, confiar a Deus: esta é a origem da palavra ‘adeus’. Nós dizemos ‘adeus’ somente nas grandes despedidas, sejam as despedidas da vida, seja a última.

引用元:Papa reflete sobre o significado, para o cristão, do “adeus”

つまり、「アデウス」といって別れるのは、自分の親しい人々の行く末を神に託して、この世を去る時に使うのが本来の用法であるということです。

ラテン系言語の神

デウスはポルトガル語で神という意味ですが、ラテン系の言語ではそれぞれ次のように言います。

Deus ポルトガル語
Dios スペイン語
Dieu フランス語
Dio イタリア語

どれも似ていますね。
イタリア語の神の名前を見て、思わず「貧弱、貧弱ゥ!」と頭に浮かぶ人は『ジョジョの奇妙な冒険』の読みすぎです。

ちなみに、フランス語、イタリア語でも神の前にAを付けると別れの表現になります。

Adeus ポルトガル語
Adiós スペイン語
Adieu フランス語
Addio イタリア語

Good byeの由来は「神が共にありますように」

余談ながら、英語のお別れの挨拶、Good byeまたはbyeは、もともとは「God be with you(神が共にありますように)」という表現に由来しているそうです。

チャオの由来は「私はあなたの奴隷」
ブラジルで「チャオ(Tchau)」は人と別れる時に良く言うフレーズです。「バイバイ」と同様に単語を重ねて「チャオチャオ」と言うこともあります。 この表現はイタリア語のチャオ(Ciao)に由来しており、20世紀の初めにイタリア人移民が使い始めたこ...