ムヒカ大統領のスピーチ:人類を蝕む高消費社会を直視せよ

ニッケイ新聞の人気記事ランキングのトップに半年以上前の記事が上がっていました。

ムヒカ大統領のリオ会議スピーチ=「本当の貧者とは誰なのか」=人類を蝕む高消費社会を直視せよ

これは、2012年行われた環境サミット「リオ+20」の最後に行われたスピーチで、ウルグアイの大統領(当時)が行ったスピーチを翻訳した記事です。ムヒカ大統領の主張には共感できることが多かったので、いくつか引用します。

人がもっと働くため、もっと売るために「使い捨ての社会」を続けなければならないのです。悪循環の中にいるのにお気づきでしょうか。これはまぎれも無く政治問題ですし、この問題を別の解決の道に私たち首脳は世界を導かなければなりません。

昔の賢明な方々、エピクロス、セネカやアイマラ民族までこんなことを言っています。「貧乏なひととは、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」。

私の同志である労働者たちは、8時間労働を成立させるために戦いました。そして今では、6時間労働を獲得した人もいます。しかしながら、6時間労働になった人たちは別の仕事もしており、結局は以前よりも長時間働いています。なぜか? バイク、車、などのリポ払いやローンを支払わないといけないのです。毎月2倍働き、ローンを払って行ったら、いつの間にか私のような老人になっているのです。私と同じく、幸福な人生が目の前を一瞬で過ぎてしまいます。
そして自分にこんな質問を投げかけます。これが人類の運命なのか? 私の言っていることはとてもシンプルなものですよ。発展は幸福を阻害するものであってはいけないのです。発展は人類に幸福をもたらすものでなくてはなりません。愛情や人間関係、子どもを育てること、友達を持つこと、そして必要最低限のものを持つこと。これらをもたらすべきなのです。

こちらで全文が読めます。
http://www.nikkeyshimbun.jp/2015/150306-61colonia.html

田舎に移住して気づいたこと

ぼくは、ブラジルに来るまでは東京に10年ほど住んでいました。現在は、ブラジル北東部の沿岸部の都市、レシフェから内陸に700kmほど内陸にあるペトロリーナという田舎町で暮らしています。超便利な東京から、超不便な田舎に来たことで「便利さを追求する」ことへの価値観が変わりました。

「欲しいから直ぐ買う」ことへの疑問

東京では、欲しいものはわりと何でも手に入ります。ウェブで注文したらその日のうちに配達してくれる場合もあります。便利な世の中になったとは思いますが、うまくコントロールしないと、欲が無限に湧いてきて際限が無くなってしまいます。買いたいものを直ぐに手に入れることは短期的な欲を満たすことはできますが、また直ぐに次の欲が湧いてきてしまいます。欲望が生じたとき、直ぐにそれを満たすのではなく、ある程度我慢していると次第に欲が冷めてくることがしばしばあります。

ブラジルの田舎に来て、買いたいものが買えない不便な環境に強制的に身を置いたことで、ぼくは消費中毒から少しばかり逃れることができたように感じます。

年中無休に対する疑問

ブラジルで驚いたことの一つは、スーパーマーケットや商店街などが、土曜日の午前中までしか営業していないことで、土曜日の午後、日曜日はシャッターを締めてしまうことです。この時間に町の中心に行くと、ゴーストタウンの様相を呈しており、出歩く人もほとんどいません。

土日は書き入れ時なので、営業したほうが良いのではないかとも思いますが、ブラジル人はそのように考えないようです。最初のうちは不便に思っていましたが、仕方がないので買い物は土曜日の午前中にまとめて済ませるようになりました。これに慣れてくると、次第に不便さを感じなくなってきました。

店の経営者の立場になって考えると、年中無休にした方が売上高は増えそうですが、そこまで便利さを追求する必要があるのかという疑問が生じてきます。便利さを追求したあまり、もっと大切なことをする時間を失うことがありうると思います。

便利さを追求するとひずみが生じる

便利なことを実現するためには、その代償を払わなければなりません。例えば24時間営業の店であれば、あまり客が居ない時間帯のコスト、環境負荷が考えられます。楽しい宴会の代償としては大量に廃棄される食糧、いつも新鮮でキレイな野菜を並べることの代償としては、形の悪い野菜や賞味期限切れの食品の廃棄が考えられます。

東京に住んでいると、便利であることが当たり前のように錯覚してしまいますが、その便利さを実現する裏には、必ずどこかでひずみが出ているはずです。ちょっと不便なくらいで我慢するのが丁度いいンじゃないかなあと、最近は思うようになりました。住めば都とはよく言ったもので、最近は田舎暮らしにも慣れてしまいました。たまにサンパウロに行くと疲れます。
http://www.nikkeyshimbun.jp/2015/150306-61colonia.html

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